車掌をしていて本当に嫌だったことと言えば、酔払いの相手をするときですね。
特に12月10日を過ぎたころからは忘年会が多くなるので、夜間の車内は常に酒の匂いが漂っていました。
シートに横になって寝込む人もいれば、床で寝ちゃう人もいる。
そしてゲロする人ももちろんいます。
中には酔っぱらっているためか、タバコを吸い始める人も。
横になっていれば、無理やりにでも座らせに行きます。
他の人の迷惑になることももちろんですが、どの程度酔っぱらっているかを確認するためでもあるのです。
終点に着いても起きなさそうかを事前に把握しておけば、後の対処が楽ですからね。
車内でゲロされた場合ですが、処置を行う道具は基本的に持ち合わせていません。
なので新聞紙を被せておくくらいしかできません。
最近はビニールシートを被せることが多くなっていますが、ゲロの水分を吸い取って後の処置が楽なので、本当は新聞紙がベストなのですけどね。
だから昔は乗務員室には最低でも朝刊を1組くらいは積んでいました。
でも最近の乗務員さんはそう言ったことを知らないので、客室の新聞紙はすべて捨てちゃってますけどね。
タバコを吸う人。
この手の人にストレートに
「禁煙です」
なんて言っても通じないばかりか、暴力沙汰になってしまいます。
だから私はいつも
「私もタバコを吸いたいけど我慢してるんですよ、お客さんも駅に降りるまで我慢してもらえません?」
これで大抵はタバコを消すのですが、中には食って掛かる人もいます。
そういう時は仕方ないので列車無線で駅員や、場合によっては警察の応援を仰ぐことになります。
車内も大変ですが、ホーム上の酔払いには本当に気を使いましたよ。
動き出した列車の側面にぶつかってケガする人も多いですからね。
ぶつかる!と思って車掌弁(非常ブレーキ)を引いて緊急停止させたら、ヒョイとよけて白線の内側に逃げる人も多かったです。
今は
「危ないと思ったから止めた」
で報告書も作ればOKですが
昔は運転士からも助役からも
「いちいち電車を止めるな!」
って怒られたものでした。
まあ様々な人間を観察できる時期だと思って、割り切って乗務していました。