飛んでいく

車掌って駅を出発するさいに顔を出していますよね。
あれは出発監視と言って、動き出した列車に異常がないかを見ているのです。
ドアに挟まれたままの人がいないか、また特に年末になると酔った人が動き出した列車に接触する事故も多いですからね。

 

この出発監視のときにやってしまう恥ずかしい失敗。
それが帽子を飛ばしてしまうという失敗です。
私も1度だけやったことがあります。

 

風が強かったりすると用心していますし、場合によっては片手で帽子を押さえていますから飛ばすことは案外少ない。
用心していないときにやっちゃうのですよ。

 

被っている帽子がフワッと浮かぶ感覚ですね。
人によっては、後ろから誰かがそーっと帽子を盗る感じとも言いますが
とにかく帽子が飛んでいく瞬間って、ホントにフワーっと飛んでいくのですよ。

 

あまりにもフワーっと飛んでいくから手が出ないのです。
フワーっと浮かんで、帽子が全く頭と接しないようになって初めて
「帽子が飛んでる!」
って気付くのです。

 

 

飛ばしてしまうとそこからは帽子なしでの乗務です。
普段は髪の毛がペチャンコになったりするのでイヤな帽子ですが、いざ帽子なしで乗務員室にいるとかなり居心地が悪い。

「お客さんに見られたらどうしよう」
なんて変な気まで使ってしまいますしね。

 

それと帽子を飛ばしたことを列車無線で報告するのですが、それがまた格好悪い。
こちらが
「どこどこ駅で帽子を飛ばしました」
と入れる無線は乗務区だけではなく駅や本社にまで聞こえています。

 

それに対する運転指令の返答
「〇〇列車の車掌、どこどこ駅で帽子を飛ばした件了解」
は乗務区や駅、本社だけではなく、運行中の列車の無線からも聞こえます。
その時に勤務しているすべての乗務員に聞かれてしまうのです。

 

乗務区の助役などが予備の帽子をもって駆けつけてくれますが、乗務を終えて乗務区へ戻った時の皆の笑顔が・・・
ホントに恥ずかしいのです。

 

たいていは1度飛ばせば次からは常に用心するし、帽子の被り方も工夫するので飛ばすことはありません。

もう30年以上前に私は経験したのですが、今でも帽子が飛ぶ瞬間のあの感覚は忘れられないです。

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