電車の運転士を4年前まで25年以上にわたって行ってきたのですが、10数回は泣きそうになったのがトイレについて。
車掌のころから乗務前には必ずトイレに行きます。
そして交代後すぐにまたトイレに行きます。
この習慣が今でも抜けず、車でお出かけして目的地に着くとすぐトイレに行きたくなるのです。
長年の習慣って恐ろしいものがありますよ。
必ず乗務前にトイレへ行き個室にこもります。
なんか残っているような気がするけど、ある程度出したし大丈夫かなと思って交代へ行きます。
ホームに立って担当列車の到着を待つ間には、お腹のことなんて忘れています。
引継ぎを行い乗務員室へ入り、ざっと乗務員室内のスイッチ類の点検を行います。
やがてドアが閉まり車掌から出発合図が来ます。
ブレーキを緩めてノッチを入れます。
不思議なものですよ。
次の駅に到着する前にはお腹が痛くなってきますから。
でも乗務前にある程度は大丈夫だろうと思って運転していますから、何とかお腹の痛みに耐えられるものです。
困るのは不意打ちでやってくる腹痛です。
車掌の時も不意打ち腹痛で泣きそうになったことはあります。
でも乗務員室内をうろうろしたり、後方を監視するフリをしながらお腹をさすったりと、様々な手を打ってその難から逃れようと努力できます。
しかし運転士は違います。
椅子に座ってブレーキハンドルを握っています。
姿勢を変えることもできませんし、お腹をさすることもできません。
ただひたすら脂汗を流しながら我慢するだけです。
本当にひどくなってくると体が震えだすのです。
ここまでくると少し油断すれば出てしまう危険性も。
会社的には、列車無線で腹痛がひどいので次の駅でトイレへ行くと報告し、列車を待たせたままトイレへ駈け込めと言われてはいます。
この場合にはペナルティを科すこともありませんと言われていました。
でも電車をほったらかしにしてトイレに駆け込むって、なかなかできないものですよ。
それに実際に運転指令へその旨報告すると
「次の駅ではなく〇〇駅まで行けませんか?」
と必ず返されるのです。
運転指令の指示で乗務区から代わりの運転士を派遣するのですが、どこの駅で代わりの運転士をその腹痛列車に乗せられるかを計算するためです。
私は無線を入れたことはありませんでしたが、終点に着いて助役室などのトイレを借りに走ったり。
各停で急行などを待つ場合には、その時間を利用してトイレに走ったりしていました。
私は何とか漏らさずに済みましたが、やっぱりダメだった運転士も数多く存在しています。
今でもとりあえずトイレへ行っておこうという運転士時代のクセが抜けないのは、こういった悲惨な経験をしているからかもしれません。