最近の電車はほとんどがデスク型の運転台で、ハンドルなども一体になっていますよね。
でも一昔前の電車の中にはブレーキハンドルを差し込む車両があります。
車両によってはレバーサハンドルも抜き差ししなきゃいけなかったりと、意外と荷物になったりしていました。
ブレーキハンドルは名前の通り、ブレーキを操作するためのハンドル。
レバーサハンドルは電車の前進後進を切り替えるためのハンドルです。
新しい車両が増えてくると
新しい車両がどんどん入り古い車両が徐々に消えていく状態になると、ブレーキハンドルやレバーサハンドルを抜き取ると言う作業を行う回数が減ってきます。
私が運転士だった最後の方には、1日中新しい車両ばかり担当して古い車両に全く当たらない、そんな日が増加していました。
するとやっちゃうのですよ、ハンドルの抜き取り忘れを。
普通列車でも電気指令式ブレーキが大半になり、たまにしか電磁直通ブレーキの車両を担当しなくなった、運転士最後のころ。
いつもと同じように終点に到着。
乗務カバンなどの備品を持ってホームに降り立つ。
反対方向から歩いてくる車掌と一言二言言葉を交わす。
ホーム上で一切話をするなと本社の方々が言ってくるので、仕方なく助役連中も乗務員へそのように指導してきます。
運転士と車掌が全く話もせず素通りすることが多くなっているが、無駄話でなければする方が良いと私は思っています。
経験則で運転士が車掌へ教えてあげることも多いのですけどね。
「今日は○○駅近くのお寺に参拝する人が多いから、特にお年寄りには気を付けて」
なんてこともあるのですけど。
このことはまた機会があればじっくりと書きます。
ハンドルの抜き忘れ
すぐに車掌と別れて反対側の乗務員室へ入る。
※エンド交換といいます
乗務カバンを置いて、運転台を見た時に
”ハンドルが無い!”
って言うことに気づきます。
出発時間までまだ時間があるので、今来たホームを再び戻ってハンドルを取りに行く。
車掌がいる乗務員室へ私が行くと、かなり驚いた顔をします。
そりゃそうですよ、この運転士は何をしに来たんだ?って感じになりますからね。
「ハンドルを忘れたんだ」
と言いながらハンドルを抜き取り、また反対側の乗務員室へ戻っていく私。
運転士を20数年やってきて、結果的に運転士最後の年にはじめてハンドルの抜き忘れをやっちゃいました。
今と昔の車掌の違い
最近の車掌はハンドルの抜き取り方を知らないようなのですが、古い車掌は乗務員室へ入ると運転台周りを見て
「ハンドル忘れてるよ」
とインタホンで運転士に教えて、車掌がハンドルを抜いて途中まで持ってきてくれることが普通でした。
私も車掌の時にはハンドルを抜いて持っていたことが何度もありましたからね。
これに関連することもまた機会があれば書いていきますね。