道案内

昔の駅員は忙しかった

私が駅勤務の頃は精算機が設置されている駅も少なく、券売機も硬貨しか使用できないものもあるなど、駅員はなんだかんだ言って忙しい仕事でした。
乗り越し清算は改札窓口で行うのがふつうでしたし、両替も頻繁にしなきゃいけませんでしたし、回数券の発売もありましたし、企画乗車券の発売もありましたし。
ただ最近の駅業務のように車いすの乗降の補助といった仕事はほぼありませんでした。30年以上前は車いすの方が外出したくても、エレベーターどころか街中の歩道にも大きな段差があるなど、積極的に外出できる環境ではなかったですから。

 

特定の駅だけではなかった

私は関西のとある私鉄で働いていたのですが、入社2~3年頃までの若手はなぜだか同一の駅で勤務させてもらえず、ベテランの駅員が休んだ場合の穴埋めであちこちの駅で勤務したり、管区長所在駅の駅事務室内で内勤業務に就くことが多かったです。
駅も5~10駅ごとの集まりを駅管区としており、私のような若手は管区内の駅ならばどこでも行かされる、そんな感じで働いていました。

 

だって分からないから・・・

改札の窓口で座っていると、40歳前後の女性が近付いてきました。

「〇〇という塾へはどうやって行けばよいですか?」

その女性の手にはその塾のチラシがあって、どうもつい最近開業したばかりの新しい学習塾だったようです。
しかしそのチラシに書かれた地図が分かりにくくて、私はいくら見てもその場所が分かりません。

「ちょっと分からないですね」

ウソを言うよりはマシなはずですから正直にそう言うと

「駅で聞いて分からないって、じゃあどうやって私は行けばいいのですか!」

とメチャクチャ怒りだしました。
この時代はスマホはおろかガラケーなんてものもないし、今のようにパソコンだって持っている人はごく少数だった時代です。たしかに調べようがないから、駅に着いてから駅員に尋ねるというスタイルがふつうでしたからね。
その駅は改札口のすぐ近くに交番があったので、私がその女性を交番に案内して事なきを得ました。

女性は怒りだしはしましたが、でも駅員って町の代表として座っているんだなとも思った一件でした。

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