異常時の放送こそ車掌の見せ場なのです

私と同期入社でいまも車掌として乗務している方がいます。

その方は運転士になることを頑なに拒否し、生涯一車掌で定年を迎えると頑張っています。

その方の普段の車内放送は正直言ってぶっきらぼうというか、やる気がまったく伝わってこないというか。

とにかく決められた文例をやや省く感じで、ホントに必要最低限のことしか放送しません。

ところが人身事故で大幅にダイヤが乱れたときや、悪天候で抑止がかかったときなどには、分かりやすくコンパクトにまとめられた放送を行うのです。

私も何度もこの人と仕事をしましたが、ダイヤが乱れたときの見事な放送に何度も助けられました。

車掌が異常時に分かりやすくまとめられた放送をすることで、車内の旅客もある程度は今何が起こっているのかを理解できるため、運転士にまで文句を言いに来る人が激減するのです。

運転士はできるだけ運転指令に対して状況を聞き早く指示をもらいたいのですが、旅客対応に時間が取られることで運転指令とのやり取りが遅くなっちゃうのです。

 

終端駅でエンド交換しようと隣のホームを見ると、同期入社のこの車掌が列車無線を聞きながらメモに何やら走り書きをしていたことがあります。

他社線で不通区間が発生し(人身事故だったかな?)、振り替え輸送の会社名と区間が無線で流れてきていたのです。

ただしこの時の振り替え輸送に当社は指定されておらず、言ってみれば特に関係のない話ではあったのです。

でもその車掌いわく

「一応メモ書きして残しておけば、何か聞かれたときに答えられるからな」

心構えが違うのでしょうね。

ただし普段は口がかなり悪くて強面で、他の乗務員どころか乗務区長までもが彼に対しては下手に出ていたほどです。

 

 

でもこの車掌に対してはクレームがほとんど無いと聞いたことがあります。

やはり異常時にきちんと車内放送で旅客に伝えることができるので、クレームをつけられる部分が少ないためでしょう。

これに対して普段の駅名や乗り換えの放送は、多くの旅客は聞き流しているのでしょうね。

通勤路線で毎日同じ時間の列車に乗る方が多いという事情もあるのでしょう。

異常時に必要なことをまとめて放送するのは一朝一夕でできるものではありません。

何を旅客に伝える必要があり、何は伝える必要がないのか。

そしてできるだけコンパクトな放送にするには。

日頃から様々な想定に沿った放送を考えながら乗務していないとできませんよ。

 

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