乗り上がり脱線とすべり上がり脱線

今からちょうど20年前に発生した営団地下鉄(現 東京メトロ)日比谷線中目黒駅付近で起こった列車脱線・衝突事故。
事故が起きた8日にニュース等でも報じられていたので目にした方も多いと思います。
半径160mの曲線部で脱線し、横取りポイントという作業車をレール上に乗せるポイント部分で隣接する線路にはみ出してしまい、走行してきた列車の側面に衝突した事故です。
さまざまな原因が複合的に絡み合った競合脱線だとする見解のようですが、おそらくは乗り上がり脱線が主因でしょう。
乗り上がり脱線とは、下図の車輪のフランジ部分がレール上に乗ってしまう脱線で、車輪とレールとの摩擦係数が高くなり、さらに車輪を横に押し出す力が強くなった時に発生すると言われています。

 

摩擦係数が大きくなるということは、レールの内側部分の油が少なくなるのが原因かなと思います。
油が少なくなれば滑りにくくなり、つまりは車輪とレールとの摩擦係数が高くなってしまいますから。

きつい曲線部分には塗油器というものが設置され、車輪のフランジ部分で塗油器のスイッチ(?)を押しこむと油が噴出するという簡単な装置です。
でも営団地下鉄の事故現場の曲線には塗油器の設置はされていなかったのかもしれないです。

 

私は脱線事故なんて経験はありませんし“乗りあがり”という現象に遭遇したこともありません。
しかし一歩間違えば脱線につながる経験は何度もしてきました。
“乗り上がり脱線”とは逆に車輪とレールとの摩擦係数が小さくなって起こる“すべり上がり”という現象です。
それほどきつくはない曲線部分でも起こる現象で、ほぼ雨降りの日にしか経験したことはありません。
雨によってレールと車輪との摩擦係数が通常より小さくなり、ノッチ(車で言うところのアクセル)を入れると車輪が空転して浮き上がってくるのが分かります。
すぐにノッチをオフにすると沈み込む感じが伝わり、たまにゴン!という大きな音と振動が伝わってくることもありました。
ほぼ同じ場所で起きていたので、曲線と車輪への重さのかかり方と雨による摩擦係数の低下がピッタリと合わさって、同じ場所で“すべり上がり”が発生していたのだろうと思います。

 

“乗り上がり”とか“すべり上がり”なんて言葉はかなり後になって付けられた名前ですし、この営団地下鉄の脱線事故の頃は車輪がせりあがって脱線したから“せり上がり脱線”と呼ばれていたような記憶があります。
近年は原因を徹底的に探るようになったから詳しい事故原因を究明できるようになりつつありますが、事故になっていない私がよく経験した“すべり上がり”なんて元勤務先の会社では、たぶんですが何も対策していないのかも・・・って思います。
大きな事故になってからしか動かないんですよね。

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