駅無人化によって利用が制限される恐れのある車いす利用者によって、いずれは訴訟になる恐れもあるかもと思っていました。
ついに現実になったようです。
私が駅勤務をしていたのは昭和50年代で、この頃って今ほど車いすの方が列車を利用することはなかったです。
管区駅長所在駅など利用者の多い駅だと、今ならば多い日には10件以上の車いすの介助に当たることがあると言いますが、私が勤務していた時ってまったく車いすの介助をしない日も多かったです。
駅によっては車いす利用者がかなり多くて通常配置の駅係員だけでは対処できないからと、休日には車いす介助の要員を配置するほどになったと聞いたこともあります。
それだけ障害を持つ方の社会進出が進んだわけで、それは本当に良いことだと思いますし、これからますます社会進出がしやすい状況になるほうが良いですね。
ただ公共交通機関も大都市では収益も良いかもしれませんが、その他の地区では赤字の線区が大半でしょう。
コロナ禍によって大都市でも赤字に落ちているでしょうし、元々赤字だった地方線区は線区の存廃問題に発展してもおかしくないような気がします。
コロナに関係なく駅の無人化や列車のワンマン化は避けては通れないことだと思います。
そうやって人件費を削るくらいしか、現状では打つ手はないはずです。
ところが駅を無人化することによって、車いす利用者は事前に連絡しておかないと列車の利用ができなくなるという状態に陥ります。
無人化がどんどん進むことで、いずれはこのような訴訟が起こされるのではないかと思っていたわけです。
公営ではない私企業・民間企業の鉄道会社とはいえ、たしかに公共交通機関であり電気やガスなどと同じ性質を持つライフラインのひとつではあります。
だとすればすべての人が公平に利用できるように努力する必要はあります。
そういった意味では車いすの方をはじめ障害を持つ方が健常者と同じように利用できるように、設備を整備する必要があります。
設備だけではどうにもならない部分については、マンパワーで解決するしか方法はありません。
だとすると、駅無人化はこの流れに逆行していると言わざるを得ないでしょう。
でも私企業・民間企業にすべてを押し付けるやり方もまた間違っていると思います。
駅員を1人配置するだけって思われるかもしれませんが、交代の要員も必要だし、休みだって当然必要だからその代わりの要員も当然必要になってくる。
人件費の負担がやっぱり大きすぎるのです。
だからといって車いす利用者から割増運賃を徴収して・・・なんてことができるはずもなく、少々割増運賃をもらったところで人件費には全く届かないし。
社会的な施策として国や自治体が費用を負担しなければ、今回のような問題は解決しません。
全然費用を出さないってわけではないんですよ。
既存の駅にエレベーターなどを設置する場合には公費による負担がありますし、踏切を廃止するような高架化や地下化などの立体交差事業は原則公費で賄いますから。
このような目に見える施策は多額の費用がかかるとしても公費を出すのですが、今回問題になっている駅の無人化に対する費用なんてたぶん公費は全く出されていないと思います。
だって「駅員がいる」という状態だなんて、施策としては目立たないものですからね。
今は地方の駅の問題のようですが、都市部の駅でも特定の時間帯は無人とすることも多く、また複数の改札口がある駅では一部の改札にだけ駅員を配置するケースも増えています。
そのうち社会問題に発展するかもしれません。。。