「同じ列車番号の列車が同じ線内に同時に存在」の続きの記事となります。

前回の記事では車両振替の際に同じ列車番号の列車が同じ線内・同じ駅に存在する事例を書きました。
車庫構内など本線路以外では列車番号は持たずあくまで“車両”として扱うのですが、これから出庫して“列車”となる場合や、逆に“列車”として走行してきて入庫する場合などには、これから背負うまたはこれまで背負ってきた列車番号を用いて連絡を取ることが多いです。
今回書く「同じ列車番号の列車が同じ線内に同時に存在」する話は、完全なミスによって存在してしまった話です。
朝早い時間に車両故障が発生したのですが、すでにラッシュ帯に備えての出庫が相当数ある時間帯だったので、朝ラッシュにも影響が出るのは必至の状況。
運転指令の腕の見せ所であり、その日の指令員や指令長によってはホントにスムーズにダイヤ乱れが収まることもあれば、逆にお昼を過ぎても一向にダイヤ乱れが収まる気配を見せない最悪な状況となることもあります。
その日の運転指令は、とにかくダイヤに列車を乗せて走らせることを優先し、遅れが酷いまたは酷くなりそうな列車はどんどん運転打ち切り。
そして正規のダイヤで列車が走るようにどんどん列車を特発させていきました。
この方法ってダイヤは元に戻りやすいのですが、お客さんにすれば列車が遅れているうえに途中で運転打ち切りとなって降ろされてしまうという、ただでさえイライラしているところへ油を注いで火をつけるような方法でもあるんですよね。
運転打ち切りを急に通告された車掌や運転士は、お客さんの非難に耐えながらただひたすら謝るというマジで地獄のような世界でもありました。
「〇〇〇〇列車の運転士応答してください」
という運転指令からの呼びかけに、なぜだか2本の列車の運転士が答えようとしました。
ちなみに
列車無線の移動局(列車側)って後から送信を開始したほうが優先的に繋がるようになっています。
あとから無線で被せてきた方の勝ち!といわけです。
何度か運転指令から
「〇〇〇〇列車の運転士応答してください」
という呼びかけがあったのですが、そのたびに2本の列車の運転士が応答してくる。
乗務区の助役と運転指令とで電話でやり取りしながら運転状況を確認していったのですが、その時にある疑問が浮かびました。
〇〇〇〇列車のスジで列車を特発させたけど、元の〇〇〇〇列車って運転打ち切りになったのか?
運転指令が張り切って〇〇〇〇列車を特発させたのは良いけど、打ち切らずにそのまま走行していた〇〇〇〇列車。
運転指令のミスで同じ列車番号を持つ列車が同時にお客さんを乗せて走行していたのです。
結局特発した〇〇〇〇列車はほぼダイヤ通りだったので、そのまま〇〇〇〇列車として走行。
打ち切らずに走行していたホンモノの〇〇〇〇列車は遅れていたために、ダイヤ上もっとも近い列車に充当という形で運転を継続させました。
これと同様のミスって、私が乗務員をしている間に少なくとも3回はありました。
鉄道の裏側でこんなドタバタ劇が良く繰り広げられているんですよ。