2019年9月5日に横浜市の神奈川新町駅南側の踏切で起きた、京急快特とトラックとの衝突脱線事故。
運輸安全委員会は運転士のブレーキ操作が遅かったのが直接の要因だと公表しました。
ただし踏切障害物検知装置(以下 障検と略します)の動作を知らせる特殊信号発行機(以下 特発と略します)の建植位置が、架線や架線柱などによって遮られて確認しにくく、さらにその建植位置が当該踏切に近すぎて運転士が十分確認する時間がなかった可能性を指摘しています。
新聞記事によると、当該踏切から特発建植位置までの距離が391mで特発を確認できる距離は176m、踏切の外方567mの地点で確認できるように設置されています。
確認できる位置とされる567mから1.8秒、距離にすると60mほど近づいてから非常ブレーキを操作しても当該踏切までに停止できるとされています。
120km/hで走行中に非常ブレーキを投入した場合、507mほどで停止する性能があるということですね。
※制動距離の簡易計算
速度の2乗÷20(120の2乗÷20=720m)
非常制動は常用制動距離の70%なので504m
なぜだか私が勤務していた会社では80%で計算し576mとしていました。。。
これらの机上の計算では、特発が規定の場所から確実に確認できるということが前提になっています。
ところが新聞報道では架線や柱に遮られて、特発が確認しにくい状態だったことが指摘されています。
どこの会社でも同じような状態なんだなと思いました。
机上の計算では問題なくても、現地では問題が多いことってよくあります。
距離だけで判断して設置場所を決めてしまうと、電車の運転台からは見にくいというケースですね。
架線や柱だけではなく継電器のボックスとか樹木とか、太陽光と重なる位置だったとか。
逆に設置された頃は現地でも問題なかったのに、後になって問題が出てくるケースも多いのですよ。
あとから設置された機器に遮られたり、工事のために移設された柱で遮られるようになったり。
線路際に建てられたビルによって見づらくなったとか、いろんなケースが考えられますからね。
というよりも運転士の判断に任されているのに、たった1.8秒しか余裕がないこと自体間違っているようなきがしますけどね。
会社側は躊躇なく非常ブレーキを入れろと簡単に言うと思いますが、非常ブレーキを入れたあとに特発が解除されたりするケースも多いし、非常ブレーキを入れたために車内で旅客が転倒したりすればしつこく事情を聴かれたり
「なぜ非常ブレーキ使ったんだ!」
なんて言われるのがオチですから・・・
とにかく特発を含む信号機や各種設備などの設置に関しては机上の計算だけだはなく、実際に車両を置いて運転台からの見え方の確認を必ずしてほしいと思います。