2021年9月8日、名古屋駅に停車中の名古屋発中津川行き普通列車の車内で、座席のシートをカッターで切りつけたところを、警戒中の警察官に器物損壊の現行犯で逮捕されるという事件が起きました。
JR東海によるとシートを切られる行為が10件以上発生していたということですから、警察に相談して警戒に当たってもらっていたのでしょう。
このシートを切り裂く行為って同一犯が続けて行うことが多くて、一人が捕まればしばらくの間は発生しないけど、忘れたころにまた続けて切り裂かれるというのを繰り返すんですよ。
私が乗務員・助役の約30年の間にも覚えているだけで数件のシート切り裂き事件がありました。
そのほとんどはイライラしていたとかむしゃくしゃしていたという人が多かったように思います。
あまりその鉄道会社に対する恨み的な感情で行われたのではなかったように記憶しています。
一度は切り裂き犯の“通勤経路”の順に、他の私鉄・地下鉄・私が勤務していた会社と順に切り裂いていく犯人もいました。
私の運転士生活の晩年のころになると駅のあちこちに防犯カメラが設置されるようになり、少しは不審人物の特定がしやすくなっていました。
また最近では会社によっては顔認証機能の付いたカメラが設置されるようになっており、先日の硫酸をかけた犯人の早期逮捕にも活用されているのはご存じのとおりです。
しかし防犯カメラが設置されていなかったころなんて切り裂き魔が出没するようになると、車掌に対しては各駅停車であってもすべての区間で車内へ進出(車内巡回)するようになんてお達しが出ていましたし、各終端駅では車掌も運転士も客室を通ってエンド交換しろなんて言われてもいました。
少しは防犯効果に役立った??
そういえば昔はシートが切り裂かれたくらいでは、警察官が警戒に当たるなんてことはなかったような。
シートを切り裂かれたくらいでは警察へ通報しなかったのか、それとも警察のほうがその程度では動かなかったのか・・・
シートの切り裂き以上に多かったのが、幌の切り裂きですね。
連結部分に立ちすくんでカッターか何かで切っていたのかな。
昔は貫通扉のガラスって小さくて、少ししゃがんだら客室の他の旅客からはその様子を見ることができず、幌の切り裂きはシート以上にやりやすかったかもしれません。
それで貫通扉のガラスを足元近くまで拡大したのかも。
もちろんほかにも様々な理由が語られていますが、車両課の現場の係員からはガラスの拡大によって幌の切り裂きが激減したと喜んでいましたからね。