列車の運行ダイヤは運転曲線(ランカーブ)をもとに設定していきます。
運転曲線とは○駅の〇番線を出発するとき、まずは2ノッチで出発し〇km/hでオフして惰行で〇m進み、惰行運転によって速度が〇km/hに低下するので、そこから4ノッチを入れて速度〇km/hまで加速後ノッチオフ。その場所は出発後〇mの地点で、次の駅まで〇mの地点・・・
みたいに実際に運転するであろう走法をもとに、ダイヤ作成者が机上で計算したうえで作っていきます。
私が所属していた会社では、最も使用される頻度が多い車両形式をもとに作られていました。
昔はその路線を走行する最も古い車両(性能が最も劣る車両)で運転曲線を作っていたようですが、いつの間にか考え方が変わったようです。
ある路線の運転曲線でも当然のように、最もよく使用される車両形式を元に作成されたことになっています。
ところが実際には運転曲線通りの運転が不可能だったりします。
運転曲線では25‰程の下り勾配をブレーキ1ステップを入れて、速度を維持した状態で下っていくように書かれています。
ところが実際にはその形式の車両は電制がかなり強く、ブレーキ1ステップを入れたまま下っていくとどんどん速度が低下していきます。
だからと言って運転曲線に近づけるために、ブレーキを緩めたり1ステップを入れたりを繰り返すような運転は、そうとう乗り心地が悪くて苦情のもとになりますよね。
だからと言って下り勾配線を既定の速度を超えて運転する速度オーバーなんて許されるはずもなく、結局はブレーキ1ステップを入れたままどんどん速度を低下させ、次駅に到着時にはそこそこ遅れている運転をせざるを得ない、そんな状況だったりします。
また運転曲線では最高速度より2km/h減の速度でノッチオフし、その後は惰性運転でそのまま次駅に接近し停車させるとなっていても、実際には途中で再加速しなければ絶対に遅れる、そんな運転曲線とそれをもとにしたダイヤが使われていたりもします。
その逆に運転曲線通りに運転すれば早着してしまう、そんな区間もありました。
昔のことですが、頭の固い上司(首席助役とか)の中には、何がなんでも運転曲線通りに運転しろと指導する人もいました。
本来はそれが正解のはずなのですが、運転曲線が机上で車両性能や配線図など書類だけを参考に作られたもので、実態にはまったく即していないのですが。
そういった上司が偉そうに添乗してきて「指導」してきたりすれば、運転曲線に忠実に運転したりしましたが、駅間によって遅れたり早くなったりで、それはそれでムスッとされたりもしましたが。
こんな状態なのは私がいた会社だけかもしれませんが・・・
土木系の工事で勾配が変わったり、曲線半径が変わったり、車両だって更新工事によって性能が全く変わるわけですし。
机上の計算のみで作られた運転曲線とダイヤでは、実際の運転とは少しずつ乖離が生じるのですよね。