列車番号
列車番号は現場では列番と呼ぶことが多いと思いますが、列車を区分するために1本の列車に一つの番号を付けているもので、同一路線上に同じ列車番号を複数設定することはありません。
※列番を別の意味で使用する会社もあるようですが
路線によっては車両の運用番号と時間を組み合わせて列車番号とすることもありますが、短い区間で折り返せば番号が重複することもあるので、abcといった記号を付けて区別することも。
※運用番号62の編成を9時台に運行する時は962列車みたいな感じ(上り下りでの区別も必要ですが)
また別の路線で同じ列車番号を使用しても問題はないのですが、運転指令(輸送指令)が複数の路線を管轄することも多く、この場合は別の路線であっても同じ列車番号が重複しないように設定しています。
運転指令が
「201列車!応答してください!」
なんて呼びかけた時に、複数の列車から返答があっても困りますしね。
私鉄では本線とその本線から分岐する支線を一つのグループとして運用するので、このグループ内では列車番号が重複しないように設定しています。
本線は列車種別が多岐に渡り、支線の数も多かったりすると列車番号の付番も大変なことになるのでしょうね。
同一ホームに同じ列車番号の列車が
これは仕方がないケースになりますが、事故や故障などで車両を振替る時に発生するものです。
3212列車が故障してA駅で車両の振替を行う場合、A駅に到着した故障車両は当然3212列車ですし、A駅から別の車両で運転する列車も3212列車になります。
私がいた会社ではこれらの列車を区別するために
「3212故障列車」「3212振替列車」と運転指令も乗務員も区別して呼んでいました。
このA駅を出発すると「3212振替列車」は「3212列車」と呼ばれるわけですが、故障した列車の呼び方も「3212故障列車」から「3212のカス」に変わります。
残りカスという意味かもしれませんが、指令や乗務区と車庫とのやり取りの際は
「カスは車庫の何番に入った?」
みたいなやり取りをしていました。
運転整理
ダイヤが大幅に乱れると運転指令によって運転整理が行われますが、そのやり方は担当者によって違っていたりします。
私がいた会社で多かったのは、特発や打ち切りを極力せずに運行を継続するやり方。
ただしあまりにもダイヤ乱れがひどい場合には、起終点駅で本来は「2091列車」で折り返すところを「2101列車」として運行することで、「2091列車」は消滅するけども「2101列車」を定時で運行させるというもの。
順番に正常なダイヤに充当させていくことで、時刻表を見ると正常なダイヤに戻っているように見えるわけです。
ただし乗務員は大変で、自分が乗務するはずだった列車が消えてしまったり、乗務している最中に次に乗務予定だった列車が先行していたりもする。
本来の車両運用とは異なっているために、ダイヤがほぼ落ち着いてから、または最終近くに車両の振替が多発することもあります。
もう一つの運転整理のやり方は、遅れている列車を途中で運転打ち切りにして、ダイヤ通りの時間に別の車両を特発していくやり方。
20分遅れで運転している671列車を車庫のある駅で運転打ち切りする代わりに、別の車両で671列車を仕立ててダイヤ通りの時間に出発させていく。
このやり方がピタッとはまればダイヤ乱れは比較的早期に収まります。
ただし遅れている方の671列車の乗客は途中の駅で降ろされますから、遅れているし途中で降ろされるしで、かなりの迷惑を被ることになるのですが。
この場合の671列車は
「特発671列車」「遅れ671列車」みたいに区別して呼ばれていました。
運転指令のミスで同じ列車番号の列車が走り続ける
取消と特発を繰り返すことで運転本数も正常に戻るし、ダイヤの乱れも比較的早く戻るのですが、運転指令のミスでさらに混乱が広がるケースもありました。
遅れている「671列車」を取り消して入庫させて、本来の「671列車」のダイヤに乗せる形で特発を出庫させる。
そのような筋書きを立てていたのですが、他の遅延列車の方に気が向いてしまったのか取消しを忘れてしまい、そのまま走行させてしまった。
運転指令が
「671列車運転士応答してください」
と呼びかけると複数の列車から返答が返ってくる。
※列車無線の移動局(車両側)から基地局(運転指令)への受信が重なると、あとから送信したもの勝ち
何度運転指令が671列車を呼び出そうとしても、2本の列車の運転士が返答するので乗務区では、
〝取消しを忘れて2本の列車が同時に走行しているのでは〟
との疑念が出てきて、乗務区から運転指令へ確認するように伝えると、やはり2本同時に走っていた。
仕方がなく遅れている「671列車」を別のスジに乗せる形にして収拾させましたが、私が乗務員をしている間にこのようなケースは数回あった記憶が。
※実際はもっと多かったかもしれませんが
ひどいケースでは他社路線へ乗り入れる同じ番号の列車が2本出現して、乗入先にも迷惑を掛けたこともありました。
すると乗入先の路線までダイヤ乱れの被害を被るという…。
事故や故障でダイヤが乱れ、さらに鉄道社局側の不手際でさらに混乱するというケース。
意外と多いんだよな。。。