昔は清掃業務は全面的に委託していました
鉄道会社に就職するまでのイメージとして、駅構内やホームの掃除は駅員の仕事だと思っていました。
ところが駅に配置されてから知ったのですが、私が勤めていた会社では、ホームをはじめ駅構内やトイレなどは委託した会社の清掃員が掃除をしていました。
それもなぜだか分かりませんが、トイレとそれ以外の掃除で清掃業者を使い分けていました。
あくまで私が駅勤務をしていた昭和50年代の話ですが。
ホームや駅構内の掃除を担当する清掃員は列車内の掃除も担当していて、それこそ車内に嘔吐物があって清掃依頼が無線で運転指令に届くと、運転指令が停車時間などを考慮して清掃可能な駅へ電話連絡、連絡を受けた駅は清掃員を呼び出して嘔吐物処理の依頼をする、という流れになっていました。
嘔吐物の処理はほぼ夜間から深夜時間帯ということもあって、泊まり勤務になっていました。
それに対してトイレ清掃を請け負っている清掃員は日勤でした。
なので私が駅勤務をしていた2年間に清掃業務に当たったのは、数度しかありませんでした。
決められたシフトの清掃が完了すると、駅長所在駅の駅務室内に置いてある台帳に掃除をした日時と清掃員のハンコを押すことになっていました。
ただし、掃除ができたかどうかを駅員がチェックに行くこともなく、あくまで清掃員の自己申告に基づくものでした。
清掃員がお客さんとトラブル
清掃員に関するトラブルは少なくはありませんでした。
ホームのベンチに座って列車の到着を待っているお客さんの足を、ほうきで追い立てるようにして掃除する人もいたし、ベンチの横の床に置いてあるカバンに向けてほうきでゴミを掛けるような人。
掃除するほうにすればお客さんの足や荷物が邪魔だと思うようですが、そもそも声も掛けずにいきなりほうきでゴミが掛かるようなことをするんのすから、苦情が出て当然ですよ。
それ以上に多かったのが、清掃中は何があってもトイレを使わせない清掃員。
最近は清掃中の看板に、
「滑りやすくなっています」
「ご利用できます」
と書かれたものも増えていますが昔は
「しばらくお待ちください」
と書かれた置き看板が多くて、その文字を盾にして、
「お待ちくださいと書いてあるんだから、ちょっとくらい待て!」
なんてお客さんに言い返す清掃員もわりといたので、その苦情を処理するのも本当にしんどかった。
トイレを使わなきゃいけない状態なんて、いつ何時襲ってくるのか分からないのだから、一律に追い返すことはするなと言っても効果がなかったんですよね。
逆ギレした清掃員
ある日改札で立ち番をしていると、
「トイレが水浸しで汚物が散らかっている!」
とお客さんに指摘されたのでトイレを覗きに行ってみると、本当に汚物があちこちに置かれています。
そのまま放置するわけにもいかず、この日ペアを組んでいた超ベテラン駅員と一緒に後片付けをしました。
この時点では誰がトイレ内のあちこちに汚物を置き、さらに水浸しにさせたのかは分かりません。
取りあえず管理駅(駅長所在駅)へ電話連絡したのですが、管区内の他の駅でも同様のことが起きていることを知らされました。
後日同じ駅で立ち番をしていると
「あの、おトイレを使いたいのですけどダメだって言われて…」
10歳にもならない女の子が泣きそうな顔で、お母さんに連れられて改札へやってきました。
この駅のトイレはホーム上にあり、駅員が見に行くことはほとんどありませんでした。
駅務室内の職員用トイレを使ってもらうことにしてお母さんとその女の子を駅務室へ招き入れ、私はホーム上のトイレの様子を見に行くことに。
トイレでは60歳を軽く超えている女性の清掃員が、ホースでトイレ内を水浸しにしています。
私が来たことで察したのか、
「今は掃除していて、汚い水がかかるから入るなって言っただけ!」
そう言うと、逆ギレ状態で私の方へホースの水を飛ばしてきます。
管理駅へ連絡して助役に来てもらったのですが、さっきまではなかった汚物がトイレ内のあちこちに置かれていました。
また私は汚物処理です。
さすがに酷いしあの女性清掃員の仕業ではないかということで、清掃業者へ連絡して対処するように依頼。
清掃業者の方でこの女性清掃員に話を聞いたところ、
なぜ掃除を邪魔するように入ってこようとするのか
なぜ汚い人のように見てくるのか
こんな見られ方をしてなぜトイレ掃除なんかしなきゃいけないのか
それでムシャクシャして水浸しにしたげく汚物をまき散らしたと認めたそうです。
私が在籍していた会社では今もトイレ清掃は清掃員まかせだと思いますが、あまりホーム上や駅構内の清掃をしている様子を見ないんですよね。
そのせいか昔より駅が汚れているように感じるのは錯覚なのかな…