鉄道の線路にはたくさんの橋梁があり、川を渡るもの以上に線路の下を道路が通過するための橋梁(陸橋)の方が多いのではないかな。
平面のままだと踏切によって交通が遮断されるのですが、鉄道の線路を高架や築堤にして道路と交差する個所には橋梁を架ければ、鉄道車両の通過に関わらず交通が遮断されることはありません。
鉄道の線路って街においては邪魔ものですからね。
列車を運転する立場から言っても、踏切を廃止して立体交差化されれば自動車や通行人との衝突を避けることができるので、これほど精神的に良いものはないです。
ところがこの橋梁の手前に設置された橋桁防護工(橋桁防護工 橋桁との衝突を避けるために設けられたもので、よく橋桁下の制限高などが記されています)に接触したり、勢いよくぶつかるためか橋桁防護工だけではなく橋桁に影響するほどの接触事故も多くなっています。
昔はこれほどトラック等が橋桁や橋桁防護工に衝突する事故は無かったのですが、印象としては10数年で急増しているようです。
何でも2004年にトラック等の高さの制限(車両制限令)が緩和されて、従来の3.8mが4.1mになったこと。
指定された道路での通行においては4.1mの高さのトラックが通行でき、指定された道路が追加されて多くなったこと。
これに対して鉄道の構造物は古い物が多く、4.1mの高さでは通過できない個所が多いこと。
不慣れなドライバーがカーナビに頼って運転し、指定されていない道路でも走ることが多くなり、鉄道の橋桁やその手前の橋桁防護工に接触することが多くなった。
と言ったことが理由にあるようです。
トラックが橋桁に衝突し線路の点検を行うため、運転を見合わせています・・・
に繋がるらしいです。
優等列車を運転していてある陸橋を100㎞/hを少し超える速度で通過したところ、激しく横に車両が揺れました。
運転しながら
「うわっ!」
って声が出たほど。
昔は列車無線は停車時にのみ使うように指導されていたので、次の停車駅で無線を入れようと思っていたところ、続行の普通列車の運転士が先に無線で報告。
通過する列車の運転士がみな
「トラックが当たって橋梁が歪んでいるんじゃないか?」
って言いだすほどだったのですが、列車に添乗して確認しに行った助役が異常なしと報告したものだから、徐行の指示などは出されず。
「安全軽視じゃないのか!」
って声も黙殺される状態で数日が経過しました。
たまたま私が担当する列車に本社の部長ら数人が添乗してきたときに、その橋梁上をわざと最高速度で通過した私。
もうねぇ、乗務員室内は騒然としましたよ。
それでも徐行の指示が出されることはありませんでしたが、その日の終電後に応急の修理を行い翌日からは揺れることはありませんでした。
ホントにいい加減な大手私鉄でしたよ、私が勤務していた会社って。