これは私が勤務していた会社の車両だけかもしれませんが、ブレーキが抜けてノーブレーキ状態になることがありました。
それも電磁直通ブレーキを採用している古い車両ではなく、電気指令式(HRD)の車両で起こるのです。
電気指令式のブレーキは、ブレーキの段数に応じて所定のブレーキが入るようになっています。
運転士のハンドル操作によるブレーキの段数は6~8段(ノッチ)くらいでしょうか。
ハンドルを操作してブレーキを入れたはずが、スーッとブレーキが抜けてノーブレーキになる現象がたまにあったのです。
例えばブレーキ操作で5段(ノッチ)に入れようとします。
一気に5段へもっていくと“ガツン!”とブレーキが利くことがあるので、私はややゆっくりめに1→2→3→4→5と入れていました。
ゆっくりめにブレーキを入れているので、1→2→3→4と入れるごとにその段数分のブレーキが利いています。
そして5に入れた瞬間にブレーキがスーって抜けるんですよ。
もうねぇ、お尻が浮くって表現がピッタリなくらい、ホントに体がふわーっとする感じがするんですよ。
電気指令式のブレーキは段数が決まっていて、その段に入れれば相当するブレーキが入ります。
比較的新しい運転台のハンドルはカチッとしていて、きちんと段に入ります。
ところがややくたびれた運転台のハンドルって、この段がかなり曖昧な状態になるんです。
毎日のハンドル操作で段の山がこすれて低く・緩くなるのかな。
つまりは5段(ノッチ)に入れたつもりでも、実は4段と5段の合間にハンドルが入っている状態になるわけですね。
ノーブレーキになってお尻が浮くような感覚になる車両もあれば、段と段の合間にハンドルが入って電制(電気・回生ブレーキ)だけが切れて空気ブレーキのみになる車両もありました。
通常より高い速度で電気ブレーキが急に空気ブレーキのみになると、意外と衝動が伝わってくるんですよ。
界磁チョッパの車両でも後期製造分になってくると回生ブレーキを優先させようと、遅れ込め制御が採用されています。
T車の空気ブレーキをM車の電気(回生)ブレーキでまかなう、つまりT車は電気(回生)ブレーキ動作中はほぼノーブレーキ状態になっているわけで、この状態で通常より高速域で電気(回生)ブレーキが切れちゃうと、編成全体が揺れるんです。
運転台が新しければこういうことは起こりませんし、もっと古い電磁直通ブレーキは段(ノッチ)なんてありませんからこのようなことは起こりません。
まったく別の理由で電磁直通ブレーキが急に利かなくなったという事件は聞いたことがありますけど・・・