山手線 運転士のテクニックで「省エネ運転」実現へ 最高速度下げても所要時間は同じ
という記事を目にしました。
たとえば通常100Km/hまで加速する区間を、あえて80Km/h程度に抑える。
すると制動距離は当然ですが通常よりも短くなる、つまりそれだけ惰行運転する距離が長くなる。
これを突き詰めていくことで、各駅間では速度をどの程度まで落とした場合に、遅れずに定時運転できるのかが分かります。
こういう運転をすることで省エネにつながる、という理屈です。
すごいなぁと思いながらこの記事を読んだ方もいらっしゃると思いますが、私が運転士になって10年ほどしたころだったかな?
とにかく20数年前にはすでに言われていましたよ。
まずは架線柱一本分いつもより早くノッチオフしてくれ。
慣れてくれば二本手前でノッチオフしてくれ。
そして正しい制動距離を取って入駅してくれ。
優等列車でも同様に架線柱一から二本分は早くノッチオフしてくれって。
だから私にすると今さら感がホントに強い記事だなと思ってしまいます。
中途半端に架線柱一本手前とか二本手前でノッチオフすると、残念ながら多くの運転士は制動距離をうまく合わせることができずに、通常より遅れ気味になることが多かったような。
思い切って10Km/hとか20Km/hくらい低い速度で走るほうが、意外と制動距離を合わせやすくなって遅れなかったりするんですよ。
私はぶっ飛ばすのも好きでしたが(笑)
逆にどの程度まで速度を抑えても遅れずに運転できるのかを調べるのも好きで、毎日のように退屈することなくいろいろ実験していましたよ。
以前に終点ひとつ前の駅から終点までの所要時間がプラス30秒とかプラス1分の設定になっているとき、数駅手前からゆっくり走る運転士がいるって書きました。
同じようなパターンである一駅間だけ所要時間を延ばしている列車ってあるのですが、このパターンの時に後続の列車に影響を出すことなく、さらに場内待ちで停止することもなく運転するには何キロで走ればいいのか、なんてホントに実験していましたよ。
今でも覚えているのは
2分50秒の設定となっているある駅間は90Km/hで走れば定時で到着するのだが、先行列車の関係でプラス30秒の3分20秒設定になっているケース。
通常通りの速度で走行すると場内待ち、または場内信号機の内方を警戒(25Km/h以下)で進入することになる。
ところがその区間を55Km/hで走行すれば場内待ちどころか注意(45km/h以下)で進入できて一切遅れないし、後続の優等列車にも影響しないなんて見つけたときは、結構自分でも驚きましたよ。
という事で私にすると今さら感が満載の記事だなと思ったのでした。