私が国鉄ではなく私鉄に入社した理由
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私が国鉄ではなく私鉄に入社した理由

私が関西某私鉄に入社したのは1981年(昭和56年)です。

当時の国鉄は赤字に悩まされ毎年運賃を値上げしていましたし、赤字路線の廃止の問題も片付いていなかったし(いわゆる赤字83線)

でもこの頃はまだ国鉄では採用を継続していて、私の同級生の中には国鉄に入社した人もいました。

分割民営化なんて話もまだ出ていなかったし、いくら赤字であろうと国が経営している鉄道が潰れるはずもなく、3公社5現業に入れば一生安泰で身分も保証されるという空気はまだありました。

でも私にすると毎年のように値上げはするし、誰も乗っていない路線の廃止にも手こずっているし、働いている人の態度も悪いしと、とてもではないですが国鉄を就職先に選ぶという選択肢はありませんでした。

元々鉄道業界に興味なんて全くなかったし、関西の大手企業に就職できればそれで良いと思っていました。

なので本当は大手電機メーカーに就職するつもりでいたし、ほぼその方向で決まりかけていたのだけど、給料面でより条件が良かった私鉄を学校の先生が勧めてきたので、そちらへ方向転換したのです。

言ってみればお金で就職先を選んだわけですね。

 

JR北海道・四国・九州のいわゆる3島会社は国鉄を分割してJRに移行する時点で、先々の経営は厳しいだろうと言われてきました。

JR九州は株式上場を果たしましたが、北海道や四国は国の援助がなければ会社を維持できない状態のまま。

報道でもJR北海道は入社後3年程度で辞めていく人が多いと言われています。

残念ながら、ただ鉄道が好きだという理由だけでは働き続けることも難しいのだろうと思います。

給料面だけではなく先々のことを考えると、早めに見切りをつけて新しい勤務先で働くほうが得策だと思える状態なのでしょう。

 

JR西日本は本州のJRの中では最も経営基盤が弱い会社です。

新幹線は持っているけど新大阪以西だけで、ドル箱の東京~新大阪間はJR東海だし、JR東日本の東京周辺ほどの収益力が大阪周辺にはありません。

そんな中で地方路線の赤字額を公表しました。

基盤がJR東海や東日本より脆弱であることから、もはや大阪周辺の収益で地方路線を支えることは不可能であり、JR西日本単体では維持管理は不可能だと宣言したわけです。

自治体の首長たちからは猛然と反対意見が出ます。

※ある程度理解を示す首長ももちろんいますが

廃止前提の話ではないかと。

通学の足が奪われる、公共交通の維持は地域住民にとって必要不可欠、廃止絶対反対。

まるで私が就職先を決めようとしていた、昭和55年当時と同じなんです。

当時も同じような話があちこちのローカル線沿線の首長や、廃止を反対する団体から出されました。

そして当時も一時しのぎ的な乗客増のキャンペーンなどを行っていた記憶があります。

 

もしも私が今から就職先を探すとしたら、私鉄を含めて鉄道の現業での仕事は絶対回避するでしょうね。

国鉄と違って、働いている人の態度が悪すぎるといった理由はあてはまりませんが、誰も乗っていない路線の廃止にも手こずっている点は同じですし、何よりも駅員・車掌・運転士といった職が今後もあり続けるとは到底考えられませんから。

もしも鉄道会社に入社するとしても、鉄道以外の分野で働くでしょうね。

 

JR西日本が赤字ローカル線の17路線30区間を発表したことで、遠い昔のことを思い出しました。

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