今の券売機や改集札機は自動で日付の設定を行うようになっていると思いますが、私が駅勤務時代のこれらの機器って、すべて手動で日付を設定していました。
通常は終電後に翌日の日付に設定し、券売機の場合は「試刷」と呼ばれる確認用の乗車券を発券させていました。
試刷券は券売機の裏側に排出されるようになっており、翌日の日付が印刷されていることを確認してから電源を落とすようにしていました。
試刷は券紙を交換した際などにも発券させていましたが、データとして何枚発券したのかが記録されていたし、すべての試刷は回収されることになっていました。
なので捨てちゃったり、持ち帰ったりすると怒られることになるでしょうね。
私は駅での勤務は2年間でしたが、日付設定をミスっちゃうと大騒ぎになることが明白だったので、必ず終電後と始発前の2回チェックして間違っていないことを確認していました。
中には手を抜くのか、うっかりしているのかはわかりませんが、この日付の設定を間違ったまま営業してしまうミスが2~3か月に一度くらいは発生していました。
よくあるのは前日の日付のまま券売機を稼働させてしまい、下車駅の改集札機の扉が閉まることで発覚するケースです。
下車駅の駅員が管区長(駅長室)へ連絡し、駅長室から日中ならば本社の営業課へ連絡することで、全駅へ営業事故として情報が流れます。
乗降客の多い駅の場合は、改集札機の日付判定をフリーにして通れるようにしていました。
でも、改集札機の日付判定をフリーにしちゃうと、定期券の期限切れをチェックできなくなるのですけどね。
日中だと本社が絡んでくるのですが、券売機や改集札機の日付設定のミスが発覚するのは通常は朝8時まで、たいていは朝6時には発覚することが多い。
すると本社の営業課には人は誰もいませんから、先ほどの例だと下車駅の駅員が管区長(駅長室)へ連絡し、そこから本社の代行を行う駅長室へ連絡をして営業事故として、全駅へ情報を流していました。
ある程度の年齢の方ならばお分かりいただけると思いますが、昔学校では学級連絡網っていうのがあって、電話を掛ける順番があらかじめ決まっていましたよね。あの要領で営業事故の情報を全駅に流していました。
月日ではなく年数を間違えて設定したレアなミスもありました。
お客さんが乗車券を自動改札機に入れたところ、扉が閉まり警報音が鳴り、改札口に置かれている自動改札の制御盤も警報音とともにランプが点灯します。
必ず制御盤に目をやるのですが、その時は日付のランプが点灯していて、以前に購入した乗車券を投入したのだろうと思っていました。
改札の扉が閉まったことで怒りながら向かってくるお客さん。
渡された乗車券を見ると、料金も日付も合っています。
これは自動改札がうまく読み取りできなかったミスだろうと思って謝りました。
しばらくすると営業事故の情報が流れてきて、先ほどの件も券売機の日付設定のミスで、確か10年ほど前の年数で発券されていたのです。
この当時の乗車券は年数については磁気の情報としては入力されていますが、券面には表示されておらず、月と日の表示のみだったのです。
改集札機の読み取りミスではなく、制御盤の日付のランプが点灯したのも正しい表示だったということですね。