南海電車車庫内で特急車両が脱線
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南海電車車庫内で特急車両が脱線

ちょっと前になりますが、5月27日0時21分頃、南海高野線小原田車庫内において、営業運転を終えた特急用の車両の留置作業を行っていた構内運転士が入換信号を見落とし、開通していない状態のポイントへ侵入。

異変に気付いたのか、後進させて元の位置へ戻ろうとしたものの、ポイント部分で2両が脱線という事故を引き起こした。

脱線した車両は修理が必要とのことで、一部の特急列車は一般用の車両を用いて自由席特急として運転されるようです。

 

以前にも掲載した大変見苦しい絵ですが・・・

現在ポイントはA⇔C間で開通しています。

この状態の時、Bからこのポイントへ向かう入換信号機はR(赤)現示ですが、信号を見落としてAの方向へと侵入します。

ポイントを無理やりこじ開けるような状態でBからAの方向へと進むため、ポイントからは相当な異音がしたでしょうし、ポイントは故障してしまいます。

おそらく2両ほどがポイントを通過したあたりで止まったのでしょう。

で、異変に気付いた運転士が元の場所へ戻らなくちゃと、AからBの方向へ後進させようとしますが、ポイントはA⇔C間で開通しているために、ポイントを超えたあたりで停止した車両は後進させるとCの方向へと進んでしまいます。

ポイントを通過していない車両はBの方へ押され、ポイントを超えていた車両はCの方向へと押されます。

そのためにポイント付近で脱線したということでしょうね。

 

ポイントが開通していないのに、(この絵の場合だと)BからAに向かって走らせてポイントを通過することをポイントの割り出しといいます。

ポイントを割り出しだけでは車両は脱線しませんが、その後に後進させると車両によって後進する方向が異なってしまい、今回のような脱線事故が起こります。

 

ポイントを割り出ししてしまうことって、車庫内ではたまに起きていました。

私が運転士をしていた26年間に、私が所属していた乗務区の運転士のポイント割り出し事故は4~5件あったのではないかな。

でも1件も公表していなかったような・・・

ひどかったのは4~5か所のポイントを割り出して通過したのに、その運転士はまったく気付いておらず、異変に気付いた車庫内にいた係員が手を振って止めさせたという事件も。

ちなみにポイント割り出しの音ってものすごく大きく、車が何かにぶつかったようなすごい音がします。

 

今各社の車庫構内のATSがどのようになっているのかはわかりません。

私が担当していた路線の車庫の場合ですが、いちおうはATSを導入していましたが、かなり貧相なものでした。

1つの線路上に2編成以上を留置することも珍しくなかったため、線路上に他の車両が留置してあってもATSは一切働かず、運転士がどれだけ注視して運転するのかにかかっていましたから。

そのようなATSですので、車庫内で他の車両にぶつけてしまったとか、車止め標識をなぎ倒したなんてことは、私が運転士在籍中に10件以上はあったように思います。

※私はぶつけたりはしていませんよ

 

車庫の奥の方から車両を出庫するとき、ATS制動が一切動作しないように解除操作をして、20Km/h以下でポイントの外方の入換信号機手前まで移動させる必要がありました。

この時に入換信号機を見落とすとポイントを割り出してしまう、私が勤務していた会社ではそんな感じでした。

見落とさずに入換信号機の手前に停止したとしても、ATSが動作しない状態のままですから、20Km/h以下ならば赤信号であってもいくらでも進行ができてしまう。

とにかく車庫のATSは貧相すぎて、ぶっちゃけて言えば運転士の注意力に頼っている状態でした。

今は改善されているとは思いますが、南海電車でポイント割り出しの上に後進させて脱線なんて事故が発生したということは、私が勤めていた会社の車庫のATSも貧相なままなのかな・・・

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