世間的にはオーバーランのほうが分かりやすいから、マスコミは一貫してそう表記しますが、今はJRをはじめ各鉄道会社でもオーバーランと表現しているのでしょうか。
私が勤務していたころは社内では〝過走〟と表現していたし、乗務員間では〝すべる〟と言っていました。
「昨日○○が××駅の上りですべったらしいで」
のような感じで言っていましたが、その辺りの表現も変わってきているのでしょうか。
鹿島田駅で135m過走の件は、運転士自身が眠気を感じていたと言っており、気が付いたら入駅していてブレーキをかけても間に合わなかったとのこと。
南武線の編成両数は6両?かな、だとしたら、135m行き過ぎとなると1編成以上がホームから出ていることになります。
JR東の踏切は私がいた会社とは違って高性能なようですから、駅へ列車を戻すと誤動作の恐れがあるとして戻らなかったとありますが、神奈川新聞には〝運転士の判断で戻らなかった〟とありますが、そんなことってあるのかな?
こういう判断は運転指令(JRは輸送指令?)が行い、運転士に対して指示を出すものですが、本当に運転士の判断で戻らなかったとすると、そのことでもペナルティを受けるんじゃないのかな。
135mという距離が微妙で、ひょっとすると閉塞信号機を編成のすべての車軸が超えたために、後続列車の停止手配を行わなければ後退できないから、運転指令の判断で次の駅まで運転するように指示したのではないかな。
それより気になるのが
運転士は前日午後11時まで乗務した後仮眠し、翌朝のこの日は午前6時前から業務に就いていた
この書き方だと、運転士は7時間ほど就寝していたような印象を受けるけど、23時まで乗務していて、そこから乗務区だったり仮泊を行う駅に戻ってきて、対面だったり電話で終業の点呼を行います。
乗務を終了した駅が仮泊を行う駅であれば良いけど、便乗で他の駅へ行くこともあります。
入庫して区に戻るにしても近ければ良いけど、かなりの距離がある場所も珍しくはないですしね。
会社によって違うかもしれませんが、その後に日報を書く会社もあるでしょうし、23時まで乗務して実際に仕事が終わるのは早くて24時前後じゃないのかな。
そこからお腹が空いていれば軽くラーメンくらい食べることもあるし、お風呂に入ったりシャワーを浴びることもあるでしょう。
布団に潜り込めるは早くて深夜1時というところではないでしょうか。
私が乗務員だったころはだいたいこんな感じでした。
翌朝は6時前から業務に就いていたとありますが、通常は点呼を行う時間が業務の開始です。
点呼までに準備も当然必要ですよね。
顔を洗ったりもするでしょうし、眠気覚ましにコーヒーを飲むことだってある。
朝食は乗務中の眠気が怖いから私は空腹のまま乗務していたけど、それでもこのケースだと5時までに起きなければ絶対に間に合いません。
なのでよく眠れても4時間ほどですね。
発生したのが8時10分ごろだから、目を開けたまま頭が寝ている状態に陥りやすい、そんな時間だと思います。
JR東日本横浜支社は指導を徹底すると言っているそうですが、何もせずにすぐに寝ろとか、朝も起きたら身支度なんてどうでも良いからすぐに仕事をするようにして、仮眠時間を自分で確保しろとでも指導するのかな。
本社や支社などの事務方は机上の空論でモノをいうから、よけいに現場の士気低下に繋がるってことも考える方が良いのですけどね。
北陸線の田村駅の件は、正直言って運転士は気の毒だったなと思います。
この区間ってワンマン運転の列車と車掌が乗務する列車が両方走っており、一瞬ワンマン運転であることを失念しちゃうと発生しうる事例だと思います。
実際の話、ワンマンの列車しか走行していない路線であっても、ドアを開け忘れそうになることがあります。
私が所属していた乗務区はワンマンの路線も抱えていましたが、仕業数の違いからワンマンの路線なんて1か月に1~2回しか乗務しない。
するとやっぱり忘れかけるんですよ、ドアを開けなきゃいけないことを。
停車して10秒以上経過してから、ドアを開けるのを忘れていた……なんてことも珍しくはない。
その逆もあって、前日ワンマンを担当して、翌日は車掌が乗務する路線ないのに、4時間ほどの仮眠では頭の中が切り替えできていなくてドアを開けようとしたりしてしまうのです。
「あれ? ドアの開閉スイッチが無いぞ…… そっか、今日はツーマンで乗務しているのだった」
田村駅での事象も朝8時半過ぎですから、やはり眠気が襲いやすい時間帯だから、ついうっかり忘れちゃったような気がします。
「今回の事象をほかの乗務員にも周知し、ドア操作の取り扱いを改めて指導、徹底してまいります」というJR西のコメントですが、これはかなりピント外れ。
ドアの取り扱いを改めて指導って、なぜ運転士がドアを開けることを忘れたのかを考えるべきなんですよね。