「お客様は神様ではない」 秋田のバス会社“クレーマー反論広告”に見る、カスハラ被害の深刻さ 暴言は拳よりもタチが悪い
という記事がMerkmalに出ていました。
私は在職中に3度殴られた経験(駅勤務・車掌・運転士で1度ずつ)がありますが、たしかに殴られた時は頭に血が昇るわけですが、その後に警察に突き出しさえすればそれで終わるので、意外と後味はマシかもしれません。
ところが暴言を吐く人ってとにかく相手を謝らせる、言い方を替えれば屈服させるまで言葉で攻め立ててきますから、精神的にはかなりこたえます。
中には土下座を要求してくる人もいるし、この手の人は自分の不満のはけ口として、鉄道従事員をターゲットにしているだけだろうと思われます。
金品を要求するやつもいますが、これは鉄道に限らず接客を行う業種すべてであるのでしょう。
暴言を吐く人たちに多いのは、そちらに非があると指摘されるとそれまでとは主張を変えて
なんだその口の利き方は!
と接客態度を口実に口撃を激化させるタイプです。
これをネタに口撃できると意気揚々と駅員や乗務員に詰め寄るものの、あっさりと間違いを指摘されても引き下がるどころか、その口の利き方が気に入らないと口撃を激化するわけですが、こういう人って最初の言い分が通用せずに恥をかかされたと感じて、よけいに頭に血が昇って口撃してきます。
運転士の晩年に経験したケースですが
「いま車掌が○○に止まると放送したぞ!何ウソを放送しているんだ、謝れ!」
と詰め寄ってきた人がいました。
日中は通過する駅に朝のラッシュ時間帯だけ停車するという優等列車だったのですが、それを知らずに口撃してきたのです。
「停車駅だから車掌は止まるから放送したのですが、何か?」
と言い返すと、始まりました。
「なんだお前のそのものの言い方は!」
こちらは運転を継続しなきゃいけないし、悪いけどそんな奴を相手する暇なんて無い。
この時添乗していた監督者がいたのですが、
「あなたの最初のものの言い方のほうがひどいです。それ以上言うのならば出るところ出ても良いですよ、あなたの発言はすべて録音していますし、どうしますか?」
そういって監督者がボイスレコーダーを指し示すと、文句を言ってきた奴はぶつぶつ言いながら下車していきました。
「この駅で降りるのやったら、次の駅に止まる止まらないなんて、あいつには関係がないじゃないか」
監督者もかなり憤慨していましたが、本当にこういう感じのクレーマーが多いのですよ。
この時は定年間近で昔気質の監督者だったから追い返すことに成功しましたが、私より若い監督者はこのケースだと電車から降りて、ひたすら謝り続けるでしょうね。
どこに謝る必要があるんだと思いますが、とにかく謝って相手の怒りを鎮めようとするわけです。
私もホーム上でさっきの電車は早く出発したと執拗に口撃されたことが数回ありますが、あれってまともに食らい続けると信じられないほどメンタルをやられますよ。
私は途中でそういう人を相手するのが面倒になって、背を向けて無視することで自分のメンタルを守っていましたが、もうクレーマーに対しては毅然とした態度を取るべきですよ。
そして会社もお客様扱いをしすぎちゃダメだと思うし。
お金を払っているからお客さんではあるけど、電車の場合は目的地に運ぶことを請け負っているだけで、それ以上の契約は結んでいない。
もちろん鉄道側に非があれば謝罪や賠償するなどの責任は当然あるけど、それ以上を要求されれば毅然とした態度を取らなきゃ。
でも昔からクレーマーは存在していて、最近特に多くなったわけではありません。
平成元年ごろだったと思いますが、駅長室にほぼ毎朝、早朝から1時間ほど文句を言い続ける人もいましたよ。
気に入らなければ時にはナイフを振り回したりもする男でしたが、当時はそれでも警察に通報しなかった。
そういうことが積み重なって、鉄道やバスに従事する人に文句を言っても大丈夫、みたいな風潮が今に繋がっている気もします。