電車にはモーターを積んでいる電動車と、モーターを積んでいない付随車があります。
すべての車両が電動車という電車もありますが、多くの場合は付随車も連結しています。
車両の製造費用や運用にかかる経費(検査代や電気代など)のほか、その車両に求める性能なども加味して決定されるのでしょうね。
ちなみに私がいた会社では乗務員の意見は一切考慮されず、本社が主体となって車両担当がどのような車両にしていくのかを決めていました。
なので実際に新型車両が登場してから、使いにくいなど乗務員が不満をぶちまけることが多かったのですが、その意見を次の新型車両に反映させることもなかったです。
会社によっては乗務員側の意見もかなり参考にするという話を聞いたことがあるので、私がいた会社ってどうなのかなって思うことが多々……
京急は先頭車両を必ず電動車にするそうですね。
先頭車両が重たければ、自動車との接触や土砂崩れの個所に突っ込んだ場合でも、脱線転覆しにくいという安全サイドに立った考え方からだと聞きました。
ほかにはレールと車輪との接触をより確実にすることで、軌道回路がより正確に反映されるからとか。
惰力運転時(モーター回さず転がしている状態)にも何か影響が出そうな気もしますが、実際のところどうなのでしょうか。
ここからはあくまで私見ですが……
個人的にも先頭車両は電動車の方が好きでした。
私は運転時には基本的に側窓を開けており(雨天時も少しだけ開けていました)、先頭車両が電動車ならばよりはっきりとモーターの音を聞くことができます。
架線電圧が高くなっている時にブレーキをかけた際に、モーターの音でどの程度は回生ブレーキが働きそうなのかが判断できるし
※回生ブレーキが利きそうにない時のモーター音は通常よりかなり小さかったり、音程が不安定になったりしていました
雨天時には空転の度合いがはっきりと分かるので、ノッチオフの目安にもしていました。
急に甲高い音に変わったり、急激にモーターが回転しだしてレールと車輪の接触音も変わってきたりしますから。
晴天時だってブレーキ時の電制の音と自分の感覚(目視)で、思ったように減速できているとかちょっと制動力が足りないなどが判断しやすかった。
また最近の新しい車両で先頭車両が付随車で遅れ込め制御が採用されていると、ブレーキ操作をしても全く何の音も聞こえないことになり、どうにも運転しにくく感じたりもしました。
なので先頭車両は電動車の方が好きでした。
でも空転の度合いが分かりやすい先頭車両の電動車ですが、雨天時は先頭車両は付随車の方が空転しにくいという現実もあります。
レール上の水を先頭車両が通過することで少しは減らすわけで、付随車がその役割をして、2両目以降の電動車が空転せずに走ってくれればその方が運転士としては楽です。
また昔の古い車両の中にはモーターの音と振動が本当にひどいものもあり、先頭車両が電動車だと手足がしびれているような変な感覚を覚えたりするので、疲労の度合いから言って付随車の方が良いと思うこともありました。
今もしも電車を運転するならば、先頭車両は電動車がいいですね。
音と振動に悩まされるような古い車両なんてほぼないでしょうから。