私が車掌のころ、最終電車を担当した時にはヘッドライトを点灯して走行していました。
運転士は前部標識として前照灯(ヘッドライト)を点灯させることが規則に明記されています。
しかし車掌がヘッドライトを点灯させるといった規則は存在しません。
でも最終電車を担当した時だけは、後ろ向きにヘッドライトを点けて走行していました。
自動化されていない踏切の中には踏切警手(踏切保安係)が遮断機の操作を行う箇所が今でもありますよね。
私が勤務していた会社の乗務区では、その踏切警手に対して最終電車を知らせる目的で後部のヘッドライトを点灯させていたのです。
私が車掌になったころには踏切警手はいませんでしたが、昔の名残りで点灯して走行していたのです。
車掌のお師匠さんに聞いた話によると
「ヘッドライトを後ろ向きにつけて走行して、踏切警手に対して手を振るのが最終電車に乗務した車掌の仕事だった」
と聞いたことがありました。
私は車掌として乗務した4年間、最終電車を担当した時はヘッドライトを点けていました。
でも気が付いたときには、最終電車を担当してもヘッドライトを点けて走行する車掌はいなくなっていました。
誰かがやめろと指示を出したわけではないのですが、今の時代は簡略化と省力化がもてはやされる時代ですから
意味がないただの昔の名残りなんていうものは消えていくのでしょうね。