私が駅で働いていたのは昭和50年代のことで、今の駅勤務とはかなり違うことが多いと思います。
今とは違って、あまり大きくない駅だと車いすの方がやってくることは皆無でしたし。
エレベーターやエスカレーターはおろか、ホームの端っこがスロープ状になっている駅もホントにごく少数でしたから、車いすの方が使いやすいとはとてもいえる状況ではなかったですからね。
それでも駅で手書きの補充券を月に数枚は発券していました。
私が駅で勤務していたころ、障害者割引となる乗車券は改札で発行していたからです。
その当時は小児券での代用は認められていませんでしたし。
手帳を見せてもらい、その手帳に記載されている記番号を補充券の備考欄などに記入します。
発駅と着駅にカラスを飛ばし(レの印を入れること)、運賃を計算して発券するのです。
駅の仕事の中では本当に好きな業務の一つでした。
ある駅で勤務していたとき、なぜかは知りませんが手回り品切符をやたらと発行した日がありました。
手回り品切符も今は券売機での発売が一般的でしょうか。
昔の手回り品切符って切符より大きな紙片で、紙片の真ん中に駅名入りの回転日付印を押します。
紙片には荷札のように細い針金が付いていて、対象となる手回り品に見えるように取り付けておくようになっていました。
犬や猫などの小動物をケースに入れて乗車する際に発行することが大半でしたが。
その手回り品切符って各改札に5枚程度が用意されているだけだったのですが、通常は1日に1枚出るかどうかだったので特に問題はないはず。
ところがその日はお昼過ぎにはすべてを発行しちゃったのです。
駅長所在駅に連絡して持ってきてもらうのですが、それまでの間にも手回り品切符の発行依頼が多数あり仕方なく補充券で発券したのです。
お客さんからは
「何この切符?本当にこれでいいの?」
とか
「いつも括りつけるやつはなぜないの?」
って怒られるし。
発券した数日後に本社の審査担当から
「なぜ補充券で手回り品切符を発行したんだ!それも着駅に印までつけて!」
って怒られるし。
補充券で手回り品切符を発行するときは、発売駅にカラスを飛ばすだけでいいとその時に知ったんですよね。
だってそんな事教わったことないんだもん・・・
それでも切符を自分で作って発行するわけですから、やっぱり駅の仕事では補充券の発券が一番好きだったなぁ。