今日は3月11日。
東日本大震災発生から8年が経過しました。
地震による脱線のほか津波による被害も多数ありました。
地震発生当時私はまだ現役の運転士でしたので、いろいろと考えさせられるものがありました。
運転士や車掌として乗務しているときに大きな地震に襲われた場合、どうやって旅客を避難誘導させるのか。
そこにはもちろん自身の安全も考慮して行動しなければなりません。
しかし東日本大震災が発生したころ、私が勤務する会社で大きな揺れがあった場合にどのように避難誘導させるのか、また津波の危険性についての勉強を受けたことはありません。
その当時行われていた訓練は列車火災発生時の対応だけでした。
しかもいつも訓練として想定しているのは同じ区間、同じ場所に停止、同じ駅へ向かって徒歩で避難誘導するという訓練。
私が乗務員・助役をしていた30年以上一度も想定を変えることなく同じ訓練だけを行っていました。
これって訓練のための訓練ですよね?
こんなお手軽避難誘導訓練でもラッシュの超満員の旅客をきちんと避難させるのは無理だろう?って思っていました。
わざわざ試運転を走行させての列車火災時の避難誘導訓練でこれですからね。
それに運転士が運転指令に無線報告する文言や車掌に指示する言葉、車掌が旅客に呼びかける文言まで決められていて、台本を片手にセリフ合わせをしているような状況でした。
関西では阪神淡路大震災が1995年にあったものの、津波による被害が無かったことからあまり本腰を入れて訓練していなかったような気がします。
元同僚に訓練の内容が変わったのかを聞いたところ
「相変わらず同じ場所に止まっての避難誘導だけ、セリフも昔と全く同じ」
ただ私が事務職に異動してからは、列車の備品類にA4サイズの紙が何枚か加わったとのこと。
津波発生時の沿線の浸水予想マップと避難先とそこまでのルートが書かれているそうです。
でも地震発生時や津波による被害が想定される場合の避難誘導の方法などについては、座学でスライドを使っての説明程度でいまだに訓練自体は行われていないとのこと。
たとえば橋梁上を走行時に地震が発生して脱線した場合、旅客をどうやって避難誘導すればよいのか。
実際にやってみないと手順や注意点も分からないのに・・・ってマジで思います。
昨年2018年6月18日に大阪北部地震が発生しました。
この時は脱線といった大きな被害はありませんでしたが、長時間にわたって駅間に停車したままとなって多くの旅客が缶詰め状態を強いられました。
中にはそれほど揺れが大きくなかった地域でも長時間停車となっていましたから、運転指令の地震発生時の訓練もできていなかったのだろうと思います。
もちろん会社によっては地震や津波に対する訓練を真剣に考えて行っているところもあるでしょうが、少なくとも私が在籍していた鉄道会社ではその姿勢は全く見ることができませんでした。
私が会社を辞めてからは真剣に地震や津波対策を行っている!という声が聞こえれば良かったのですが、今現在全く聞こえてこないのですよね。
もちろんきちんとした訓練はできていなくても、個々の乗務員がきちんとした判断を下すことができてきちんと避難誘導できれば問題はないのですけども。
※結局は結果ですから
でも
もっと様々な状況を想定しての訓練をすることは、無駄になることはないと思います。
現状の
訓練のための訓練
仕方がないから一応訓練をしておこう
ここからの脱却は必要じゃないかなって思います。