一般的に鉄道車両の車輪は金属製でレールも金属製。
金属同士のために摩擦による抵抗が低くなるために、走行中ずっとモーターを回し続けるのではなく勢い(惰性)で走行することができます。
たとえば100㎞/hまでモーターを回して(ノッチを入れて)加速させて、到達後は勢い(惰性)で走り続けることでかなりの省エネになる。
自動車のようにゴムタイヤとアスファルトの路面の場合は摩擦による抵抗が大きくなることもあって、走行させるためにはずっとエンジンを回す(アクセルを踏む)のとは対照的です。
しかし摩擦による抵抗が大きいことから、路面が濡れていてもタイヤが空転(空回り)することはあまりなく、上り坂で路面が濡れていても自動車をふつうに進ませることができます。
ところが鉄道車両は車輪とレールとの摩擦による抵抗が低すぎることから、雨などでレールが濡れていればいとも簡単に空転してしまいます。
上り勾配の箇所から起動させるときにレールが濡れていると、すさまじい勢いで車輪が空転してしまうのです。
特に抵抗制御の車両の場合は空転を検知して回路を切断する装置は付いていますが、最近の車両のように空転を検知してモーターの出力を抑えることで空転を防ぐということができません。
回路を無理やり切断してオフにするためにモーターの回転は完全に停止しますし、カム軸もいったん最初のポジションへ戻されてしまうので回路的には停止状態からの起動と同じ状態になります。
※カム軸って電流を調整するための抵抗回路を切り替えるためのもの、強引な言い方をすると変速機って感じになるのかな
上り坂でモーターを回すことができなくなれば進むどころか下手すれば後退してしまいます。
雨や雪の日に列車が遅れる原因の一つがこの空転によるものというのはお判りいただけると思います。
やっと本題に入って。。。
空転する原因は雨や雪だけではなく、秋から冬に多い落ち葉が原因になることもしばしばあるのです。
よく言われるのは、濡れたレールに落ち葉がへばりつくことで空転するというもの。
また風雨が強い場合には葉っぱ自体が濡れた状態で飛んでくるので、こちらも原因になり得ますね。
でも落ち葉って雨などで濡れていなくても空転の原因になるんです。
レール上の落ち葉が落ちてそれを車輪で踏み潰すと、わずかながら油が出てきます。
もちろん落ち葉1枚くらいならば影響はありませんが、山間部などでレール上に落ちた落ち葉の量が多い場合などは空転の原因になってくるのです。
それも落ち葉を踏み潰した車両ではなく、その後続の列車が空転するんです。
ある程度の速度が出ている場合は良いのですが、低速の場合は空転しだすと進めなくなり、最悪の場合には停止してしまうことも。
こういうときって慌ててしまってついフルノッチを投入してしまうものですが、抵抗制御の車両は空転しだすと面倒ですから原則直列段(シリース)でどれだけ進めるかなんですよ。
並列段(パラレル)やら弱め界磁なんて空転しやすいときは使えませんから。