運転士になりたいと思っている人にとって、視力の規定は重大な関心事の一つですよね。
ただ昔ほどきつくはなくなり、自動車の運転免許とほぼ同じ視力を求められる程度になっています。
信号機のLED化や保安装置の精度向上がその原因だといわれています。
昔は裸眼またはメガネを付けて片眼の矯正視力1.0以上とか、レンズの屈折度の制限(近視は8.0ディオプトリー以下、遠視は3.0以下)って規定になっていて、視力をどうしてもクリアできないからと運転士を諦める人も大勢いましたからね。
ちなみに今は裸眼または矯正視力で両目で見て1.0以上、そして裸眼または矯正視力で片目それぞれ0.7以上あればOKです。
この視力に関する規定ですが、国の決まりでは運転士にだけ課せられており、車掌には特に視力の制限は設けられえていません。
ただ乗務するということだけでいえば運転士も車掌も同じだということ。
また車掌に任用された人は、会社としては先々運転士になってもらうことを前提として考えています。
これらの理由によって各会社とも視力に関しては、車掌も運転士と同じ基準を求めることがふつうになっています。
会社での決まりですから、その決まりを破って乗務するわけにはいきません。
ただ国の規定としては車掌に対して視力の制限は行っていないということになります。
視力だけではなく、車掌に対して国の規定で制限を設けるというものはほぼありませんから。
JR千歳線に約1時間10分の遅れ 走行中の列車から車掌が眼鏡落とす
走行中の列車の車掌から指令に対して
「メガネを失くしたのでこれ以上の乗務はできない」
との無線が入った。
手前の駅でメガネに付いた雪を取ろうとした際に線路内へ落したそうだ。
代わりの車掌の手配のために1時間10分ほどの遅れが出て、乗客約300人に影響が出たという。
先ほど書いたとおり、車掌がメガネを紛失しても国の規定には引っかからないため乗務は可能です。
でも会社の方針というか、社内の規定で車掌にも視力の規定を準用しているため乗務は不可との判断をしたのでしょう。
ぶっちゃけ
私が車掌をしていてメガネを失くして社内の視力の規定をパスできない状態になった時、昔だったらそのまま乗務していたでしょうね。
交代の駅まではそのまま担当し、降りてから出勤管理助役などに相談していたかも。
ただ今の時代はそうもいかないかなぁ。
鉄道会社に対する世間の目はめちゃくちゃ厳しいから、社内規定を充足できない状態で乗務したなんてマスコミに発表されたら、まずその車掌は乗務区へ戻ってくることはなくなるのでしょうね。
昔なんて酔っぱらった状態で乗務している人も多かったし、それを考えたら今って厳しいなって思いますよ。