運転席展望ビデオって観たことがありますか?
私はまったく興味が無いので観たことはありませんが、あちこちの路線のものが販売されていますね。
同じ路線なのに車両形式が違うものも販売されているのでしょうか?
展望ビデオというのならば、別に車両形式が違っても同じだと思うのですが、好きな方たちにとってはそのあたりのこだわりもあるのでしょうか。
私が運転士になってすぐの頃ですから昭和63年頃だったと記憶しています。
本社の広報の係員とともにずいぶんラフな格好をした人がホームに立っていました。
その日私は支線の仕業でして、1日中支線を行ったり来たり。
こんな支線に何の用があるのだろうと不思議に思いました。
「ゴメン、悪いけど添乗させてもらうわ。この方は〇〇という会社の方で、前面の展望をビデオで撮影するんやけど、邪魔にならないようにするから頼むわな」
そう言って大きなビデオカメラを運転台に持ち込みました。
私にすれば前面展望の撮影なんてどうでも良いことだし、半ば無視するような感じで運転しました。
1週間ほど経過した頃、私はまた同じ支線の仕業に就いていました。
退屈だなぁと思いながら支線の古い車両を運転していたわけですが、何往復かしたころにまたホームに本社の広報の係員が立っていました。
「また君か、ごめんな、今日もう一度前面展望を撮らせてもらうわ」
前面展望を撮影するだけなのに何度も来るものなの?
っていうか、こないだ何往復か添乗して撮影すれば済んでいたのに。
こんなことを思いながら運転しました。
2~3往復して休憩となり休憩所へ入ると、先ほどの本社の広報の係員とどこかの会社のカメラマンが座っていました。
「ごめんな、ありがとう。今日はキチンと撮れたと思うわ。」
と言いながら私と車掌に缶ジュースを差し出してきました。
おごってもらったわけだし、仕方なく話をしていると面白いことを言いだすのです。
「車掌さんの放送って人によって個性がありすぎるね、個性がありすぎるとなかなか商品としては・・・」
前回撮影した時は超ベテランの車掌さんで、放送の口調にかなり癖がある人。
言い回しが独特で、この人の放送を聞くと〇〇線に乗務しているなぁという気持ちにさせてくれる、ある種この支線の主のような人でした。
この日の車掌は私と年齢が変わらない人で、素直に普通の放送をする人。
「あまりにも癖が強すぎて、あの放送が入るとちょっとイメージ的にね・・・だから今日は撮り直しに来たんだよ」
商品としてはこの日の車掌のような素直な放送の方が好ましいのかもだけど、この支線をもっともよく表す放送だとこないだのほうが良いのに。
そもそも前面展望ならば車掌の放送なんて別に関係ないんじゃ?って思いましたが。。。