回送列車ってお客さんを乗せずに走行する列車ですね。
車庫から客扱いを開始する駅まで走行させたり、逆にある駅まで客扱いを行いその先は客を乗せずに走行する列車です。
車掌時代(昭和50年代)回送列車に乗務していたときなのですが、出発信号機がR(赤)なので途中の駅に停車しました。
朝早い時間だからホーム上にはまだお客さんはいないだろうと思いながらも一応ホームを見てみると、初老のおじさんがやけに車両に接近しています。
そのおじさんの顔は明らかに私のほうを向いていて、でも手はドア(側引戸)にかかっているような。
何やってるんだろうと思い見ていると、そのおじさんは私のほうへ歩いてやってきます。
その時に出発信号機がG(青)になったので、私は運転士に対して出発を指示するベル合図を送りました。
電車が動き出した瞬間にそのおじさんはまたドアを手で持とうとします。
「なんでドアを開けへんのや!」
そのおじさんが怒鳴ってきたので
「回送だから乗れませんけど!」
と返しました。
「それやったらはよ言えや!」
たぶんそのおじさんはドアを手でこじ開けようとしていたのでしょうね。
ワンマン運転を行う路線については車掌の乗務はもちろん省略されます。
規程類で車掌の乗務を省略できる路線や列車を指定することで実現しています。
逆に言えば指定されていない路線に関しては、回送列車であっても車掌の乗務を要します。
ワンマンの路線で使用される車両を、ワンマン運転の指定がされていない駅から運転する場合には、非ワンマン路線では回送であっても車掌が乗務し、ワンマンの路線へ入ったとたんに車掌は列車を降ります。
ワンマンの路線では駅から列車を出発させるとき、運転士の安全確認のみで発車させられます。
ところが非ワンマンの路線では、回送列車であっても車掌が運転士に対して出発合図を送ります。ベルやブザーを使用したり、ドアが完全閉扉したことを示す戸閉知らせ灯も車掌からの合図になります。
また事故などによって隣接線路が閉塞された場合には、隣接線路を走行する列車に対して防護を行う必要があり、回送列車にも車掌が乗務するのは防護要員としての側面が強いわけですね。
最近の車掌さんは回送列車でも最後部の乗務員室に立って乗務しているでしょうね。
私が車掌の頃って、駅に停車しているときは当然乗務員室にいたのですが、運転台の椅子に座っている人も多かったし(私はこのタイプ)
車掌によっては客室で座っている人もいました。
(客室のシートで横になっている車掌や客室内でタバコを吸っている人も)
ただワンマンの路線では車掌の乗務を省略して運営しているが特に問題もないし、非ワンマンの路線でも回送くらいは車掌の乗務を省略させようって話はどこの会社でもやっぱり出てくるんですよね。