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車掌用スタフと標準時刻表

車掌

車掌用スタフ(担当列車時刻表)が無かった時代からできたころまでの続きになります。

 

車掌用スタフには主要駅だけ

私が所属していた乗務区では車掌スタフには長い間、場内・出発信号機のある駅の発車時刻(終点と乗務交代の場合のみ到着時刻を記載)だけが書かれていました。

それでも入場番線や接続する優等列車の列車種別も書かれているので、昔よりはかなり仕事がやりやりやすくはなりました。

ただ前回も書いたように、停留場(場内・出発信号機のない駅)の時刻は書かれていませんし、ダイヤグラムを見ても時刻の詳細は場内・出発信号機のある駅しか分かりません。

それでも昔は少々早発したからと言ってクレームが舞い込むこともなく

(利用者があきらめていたのかもしれない)

本当に長い間車掌スタフはそのまま放置状態が続きました。

 

 

標準時刻が正式な発着時刻へ

2000年ごろになると早発のクレームが相当多くなっていきます。

電波時計が広く普及し始めましたし、ガラケーも自動時刻合わせの機能を持つモノが増えたからでしょうか。

このころになると、駅へ行くと発車したところで携帯の時間を見るとまだ発車時刻になっていなかったというクレームも多くなり、中には乗車している人が運転士のスタフを覗き込んで出発時刻をチェックする人も出てきます。

その対策として乗務員側から、車掌スタフに全駅掲載と発車時刻を書くようにとの要求が出されましたが、労組の反対によってなかなか実現されませんでしたし、会社側も記入することには消極的でした。

労組は車掌の労働強化につながるから反対という立場だったし、会社は標準時刻によって運転しているのであり、車掌スタフに時刻が書かれていない駅については、駅の時刻表に書かれている時刻よりも出発は前後するものだとの立場でした。

だから労組も会社も標準的な停車秒数である20秒間の停車だけを求めてきていました。

標準時刻とは場内・出発信号機のある駅の到着出発時刻は5秒単位でダイヤを作成し、次の場内・出発信号機のある駅まで線を引きます。

その間にある場内・出発信号機のない駅については、距離や勾配等に応じて運転時刻を案分して決めていくもので、これらの間の駅の時刻は言い方は悪いのですが適当です。

なので会社も元々は標準時刻はあくまで目安であり、列車の発着が前後することもあると表明していたのですが。

この適当な時刻を時刻表として掲載し、運転士のスタフにも記述しているというのが従来の会社側のスタンスですし、これが標準時刻というものです。

つまりは従来の車掌スタフはこの標準時刻に沿ったものであるということです。

 

でも会社側も発車時刻に関するクレーム件数の増加のために従来の考え方をやめ、ダイヤの作成方法はそのままで標準時刻という考え方を撤廃し、停留場についても発車時刻であるという考え方に変わっていきました。

その中で車掌スタフに全駅の駅名と発車時刻を掲載するようになり、全駅で発車時刻を厳守するように求めるようになりました。

ちなみにこのころになると労組なんて骨抜き状態だったし、乗務区長や基幹駅の駅長といった主要なポストは9割ほどの確率で労組出身者が占めるようになっています。

こうやって私が在籍していた乗務区では車掌スタフが全面的に変更されていったのです。

 

 

スタフ通りの運転は難しいのに…

昔は車掌は停留場の発車時刻が分からないために問題にならなかったのですが、車掌が全駅で秒単位の仕事をするようになり、運転士には困ったことも発生しました。

定時で出発しかなり飛ばし気味に運転しても次の駅には遅れて到着する区間と、逆にかなり抑えて走行しても早着する区間が出てきたのです。

なにせ場内や出発信号機のある駅だけを線で結んで、間の駅は時刻を割り振っただけですから、実情とかけ離れていましたから。

車掌スタフに停留場の時刻が掲載されていなかったころは運転士が考えて、時間がタイトな区間ではやや早めに到着・出発することで次の駅に定時で到着するようにしていたし、時間が余る区間ではその前から少しゆっくり目に走って調整するなんてことができたのです。

車掌スタフに全駅の出発時刻が書かれるようになって、こういった運転ができなくなりました。

駅間の運転時秒は昔の標準時刻で作成した時秒をそのまま用いているので、まったく運転の実情に合わなくなってきたのです。

 

ちなみに昔、会社側が標準時刻で運転していると言っていたころから駅の時刻表には「標準」の文字はありませんでした。

昔から何度も駅の時刻表に「標準」の文字を入れろと乗務員側は言っていたのですけどね。

※私が入社する以前は駅の時刻表にも〝標準〟と入っていたそうですが、一足先にその文字だけ消されたようです。

 


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