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規定値を下回る最低気温が想定されるときの対策

思うことなどなど

とにかく低温・雪に弱い鉄道会社でした

比較的温暖な地域を走る路線で勤務していたのですが、過去にも書いてきた通りとにかく低温や雪にかなり弱かった。
降雪量が増えてくると雪の重さでパンタグラフが降下することもあったし、雪が詰まって気笛が鳴らなくなったりもするし。
そもそも客室のヒーターがかなり貧弱だったから、寒い日なんてラッシュ時間中もヒーターを消せない編成もあったし。
雪は降らなくても気温が低い朝はパンタが上がらず右往左往することもあったし、パンタは何とか上がったとしてもCP(コンプレッサー)が動作しないこともありました。

駅の設備だって寒さに弱いものが多く、昔の自動改札なんてあまりに寒いと動作が鈍くなって投入したきっぷや定期券がなかなか出てこず、やたらと渋滞を起こすこともありました。
信号機やポイントなんて寒いとすぐご機嫌斜めになっていたし。

 

 

運転指令からの指令

今はどうなのかは知りませんが、天気予報や警報の発表などは気象庁からファックスで送られてきます。
ファックスを受信したことに気付かず、鉄道気象通報の発令が遅れたなんてことも…。
そのファックスに翌日の予想気温などのデータも含まれているので、運転指令は規程に従って様々な指示を出すのですが、翌日の最低気温が規定値を下回ることが予想されるときには〝○○対策指令1号(2号、3号と続く)〟なんてものを出します。
数字が大きくなるほど対策の度合いが厳しくなっていきます。

低温や大雪に対する指令の場合だと1号ならば始発からの添乗強化、2号だとパンタを降ろさずに車両を留置するとか、係員の呼出準備。3号になると非番公休者は全員呼出…、みたいな感じで段階的に強化された指令が出されます。
その中には融雪機の設置指令なんてものもありますし、運輸系の係員だけではなく施設や電気など各部に対して同様の指令が下されます。

その日の運転指令によるのですが……、例えば翌朝の予想最低気温が-2℃で規定値は-3℃の場合。
規程通りならば対策の必要はありませんが、指令長によっては添乗強化と留置車両はパンタを上げたままなんて指令を出す人がいる。
やっぱり空振りとなったときには、規程を拡大して適用していますから現場から文句が噴出することになる。
特に融雪機の設置指令を出したもののまったく雪なんて降らなかった日の、助役や信号士の怒り方と言ったら…。

別の指令長の時は規程に沿って何も指示を出さない。規程通りに仕事をしているのだから問題はないのですが、不思議と指令を出さないときには、車両の不調や信号などの不具合を誘発してダイヤがガタガタになったりもする。

どちらが正解でどちらが間違いとは言い切れないのですが、お客さんの事だけを考えれば念には念をのほうが絶対にいい。でも費用のこともあるから拡大して適用するのは難しかったりします。

 

 

低温が予想されるときにパンタを降ろさず留置する理由

電車はパンタグラフから電気を取り入れますから、パンタを降ろさなければ各機器に通電しています。
客室や乗務員室のヒーターを入れっぱなしにしておけば、朝のクソ寒い日でも温かい車両に乗車・乗務できますが、ケチな会社だったのでパンタを上げたまま留置する時には一つのヒーターを除いてすべてスイッチオフ。
お客さんや乗務員のためにパンタを上げっぱなしにしているのではありませんから。

パンタグラフはばねの力で上昇していますが、下降させているときには勝手に上がらないようにフックに引っ掛けています。フックを動かして外せばパンタは上昇するわけですが、今の車両は電磁弁を使ってフックを動かしますが、昔の車両は圧縮空気を使っていました。(制御空気ダメ)
気温が低下すると圧縮空気は減る(既定の圧力を下回る)ので、フックを動かすことができません。各パンタのフックには引き綱が設置されていて、この引き綱を引っ張ってフックを外せばパンタは一つだけ上昇します。残りのパンタも引き綱を引っ張ってフックを外して回るか、一つだけパンタを上昇させてCPが稼働するのを待ってから、乗務員室内から一斉にパンタを上げるか…。
ですが、これも乗務員が動き回れば済む話でこれが理由でもありません。
※会社は乗務員には優しくありませんから…。

床下の機器には保温を目的としたヒーターが設置されており、稼働させておくためにパンタグラフを降ろさずに留置するのです。
例えばCPですが、停止する直前には圧縮空気でCP内に溜まった水を吐き出すようにはなっているのですが、それも多少は残るのか分かりませんがたまった水が凍結しないようにしています。

客室や乗務員室のヒーターのことも考えてくれれば良いのですが、そういった考えはまったく無かったんですよね…。

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