少なくなった大晦日から元日にかけての終夜運転実施社局
1990年前後から活発になった終夜運転ですが、コロナ禍以降はそのまま実施しない社局が増えています。
終電の繰り下げや早朝に臨時列車を走らせる社局や日中に臨時列車を走らせる社局もある一方で、休日ダイヤそのままでの運転となる社局も多くなっています。
神社仏閣などの最寄り駅で参拝者の多くが利用し深夜時間帯にも利用者が見込まれる路線や、初日の出を山を上から拝もうという利用者向けの運転や、JR東日本のように一晩中にぎわいそうな首都圏での終夜運転など、古くから終夜運転を行っていた路線だけに集約された感じがします。
でもそう思うと、神社仏閣が多くて利用者も多いと思われる路線で終夜運転を行わないどころか、臨時列車の設定も行わない会社もあり、すっかり考えが変わったなとも思います。
一度だけ乗務した終夜運転
これまでにも終夜運転の記事を書いていますが、本を書くにあたって昔の乗務手帳を見返していて気付きました。
私のいた会社で終夜運転を始めた年、私はすでに運転士をしていました。車掌として乗務したので、まだ車掌の時代だった思い込んでいたのですが、手帳を見てその時の乗組みの運転士の名前を見て思い出しました。
私の最初で最後の終夜運転乗務は職場委員(労働組合の役員)で列車班の班長をしていた運転士で、初年の終夜運転だから全体的な人の流れや駅の様子も確認したいから、車掌はしないって言われたことを。
本来はMMなら楽なのですが…。
※MM=運転士同士で乗組むこと
とにかく車内はかなりの混雑で、お酒が入っている人も多いから乗降に時間がかかり、かなり遅れて運転していました。折り返し駅に到着した時点でかなり遅れていて、すぐに出発時間を迎える状況。
乗務場所を交替するためにホームを早足で歩いていると、すでにかなりの乗客でいっぱいな車内なのに、ぽっかりと1m四方だけ空いている車両が。変だなと思っているとドアの横に立っている人に呼び止められて、そのぽっかりと空いた空間にう〇こが落ちているとの申告が。
車内の真ん中の床にう〇こが落ちていて、その場で脱糞したのか、それともどこからか持ってきたのかは知りませんが、とにかくその場を避けるために1m四方だけ空いていたのです。
運転士やホームにいた助役と相談しましたが、もう除去する時間がないのでこのまま出発させろと。途中の駅でも長い停車時間もなく、全体的に遅延気味に走っているから終点に着いてから対応するとのことで、清掃依頼だけはしてもらい出発。
途中の駅では曲線で車掌からの直視では乗降状態が確認できないため、モニターで監視して車掌に合図を送る係員がいるはずが一向に合図が出ない。運転士にインターホンでそのことを伝えると、運転士が走ってその係員がいる部屋に行き、叩き起こして合図を出させたなんてこともありました。
途中駅で降りる人もいますが、同じくらいの人数が乗車してくるので終点まで混んだままの走行で遅延も発生しましたが、何とか終点に到着。
「おい、汚物は片付けたのか?」
駅の助役と清掃員が車内を探したものの例のう〇こが見当たらないという。誰かが外に蹴り飛ばしたのかな?
これ以降は一度も終夜運転の乗務は行いませんでした。眠たいし、乗客みんながやけにハイテンションで怖かったし、こんな乗務は避けるほうがいいなと思いましたしね。
ちなみに私がいた会社では終夜運転はすべて残業で、希望者が乗務することになっていました。通常と同じ条件だと誰も乗務しないから、実質2時間前後の乗務ですが残業手当はその数倍付けていましたが、それでも敬遠する乗務員のほうが多かったです。
年々終夜運転の行路が悪くなっていき、乗務時間は3時間くらいで間に休憩が入り拘束4時間くらいだから昔のほぼ倍、なのに残業手当は昔と比べると25%オフ!
終夜運転を設定しても乗務する人がいなくて毎年困っていたから、設定しなくなったのかも…。
乗務前はまだ12月31日で、
「よいお年を!」
と乗務区で挨拶してから乗務しに行き、乗務が終わって乗務区に戻ってくると、
「あけましておめでとうございます」
と挨拶したのも懐かしいです。
昔は早朝の臨時列車があったけど
終夜運転を実施する前年までは、早朝に臨時列車を走らせていました。始発の前に2本くらい設定していた記憶があります。
当時の駅は2人以上の駅員が泊まっていた駅の多くを1人泊りにした合理化実施後で、最終までは駅を営業するものの仮眠時間確保のために朝は5時から営業することになっていました。このために始発列車が走り出す時間には券売機や自動改札が動いていなかったので、早朝の臨時列車運転時も駅は非対応。
※昔は券売機や自動改札は駅員が朝起きてからスイッチ入れて起動させていました、今はタイマーで自動起動かな。
この臨時列車には運転士1名と車掌が3名乗務して、乗車券は補充券の発行で対応していました。私はそんな行路を引き受けたことはないですけど。
私がいた会社も終夜運転を行わなくなったので、昔に戻って早朝の臨時列車くらいはと思うのですがそれも実施しないみたい。需要の問題より経費のカットと要員の問題のほうが大きいのかもしれません。