地方私鉄の運転士不足と車掌や運転士になりたくない鉄道員の増加
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地方私鉄の運転士不足と車掌や運転士になりたくない鉄道員の増加

思うことなどなど

2023年8月「乗りものニュース」に長崎電気軌道で運転士不足による減便の記事が出ていましたが、ご覧になった方も多いと思います。
そして2024/12/15には読売新聞に、天竜浜名湖鉄道は2024年12月21日から2025年3月14日まで、部分運休を含め上下線各5本を減便するという記事も出ていました。

特に地方私鉄で運転士など乗務員不足が顕在化しており、そのためにダイヤを改正して運転本数を削減する動きが加速しています。その一方で北陸鉄道石川線は赤字のためにバス化も検討されたが、バス運転手不足の影響で廃止を断念して鉄道路線の存続を決めたところも。

運転という仕事自体に人が集まりにくい実態が如実に表れています。

 

 

賃金も低く、若い人は都会へ出たい

「乗りものニュース」に出ていた記事は、減便の理由は「運転士不足」鉄道も顕在化 「平日ダイヤ」維持できない事態も あえぐ地方私鉄です。

この記事によると

  • 長崎電気軌道では2023年5月に赤迫~市役所~蛍茶屋をむすぶ「3号系統」を減便
  • 10月には福井鉄道では日中時間帯の急行の廃止、始発の繰り下げと最終の繰り上げの実施
  • とさでん交通は8月14日~31日まで乗務員不足を理由に平日も休日ダイヤで運行

もちろん沿線人口の減少や利用者の低迷も減便の理由にはあるのですが、それに加えて乗務員が不足していて、運転したくても運転できない事態に陥っているようです。

読売新聞記事は天竜浜名湖鉄道、運転士不足で21日から減便…夕方以降の上下線各5本運行できずです。

  • 退職者が重なった
  • 沿線の高校が冬休み入る時期に一部の列車を運休する

 

地方では運転士に限らず様々な業種で人手不足が叫ばれていますが、その理由の一つに若い人が大都市へ憧れを持ち、地元を出て行ってしまうことが挙げられます。

テレビなどマスコミ報道のほか、雑誌でもSNSでも東京を中心にお店や人気スポットを取り上げることが多く、現在居住する街より魅力的に映りますからね。
それに加えて地方と都市部との賃金格差も大きく、生まれ育った地元に残るという選択を取りにくい状況もあります。

 

運転士など運輸部門以上に人が集まりにくい施設関係の社員

電気や施設などいろいろな人材が必要ですが、夜間作業が多くかなりの重労働のわりには賃金が低く、人手が慢性的に足りない状態が続いてます。
保守作業に必要な人員が集まらなければ安全運行を脅かすことになりますが、地方の鉄道会社を中心に利益を上げることが難しくなっているために十分な賃金を出せない、だから人が集まらないという負のスパイラルに陥っているようにも感じます。

 

現在鉄道会社で働いている人の中にも、転職を希望する人が多いことも実態としてあります。
早朝から深夜まで、基本的には泊まり勤務で、部署によっては深夜から早朝まで寝ずに働くこともある。
でも賃金はその業務量と比べると良いとは言えない状態ですから、転職を希望する人がどうしても増加します。
入社希望者が少なく、入社した人も早期退職を考えてしまう職場、それが鉄道業の実態です。

 

 

鉄道会社に入ってから乗務員になりたくないと思う人の増加

私がいた会社だけだと信じたいのですが…、

「駅員のままでいたい」

「乗務員にはなりたくない」

「車掌にはなったが運転士にはなりたくない」

そんな人がかなり多かったです。
せっかく運転士になっても、ダイヤを乱してもいなし負傷者もいない、そんなちょっとしたミスでも運転士はかなり責め立てられます。
そして数日間、場合によっては1か月以上の教育という名の監禁指導が待っており、その間に監督職である助役以上から言われる言葉は教育なんてまったくなくて、

「もう運転士を辞めて別の部署へ異動しろ」

「自分から異動を申し出ろ」

という言葉を遠回しにして言われるだけだし、中にはストレートに、

「今後は運転士としてハンドルが握れるとは思うな」

なんて発する人もいました。

1か月の「教育」は結局は「説得」のための期間でしたから。

 

こういう状況を目の当たりすると、だれが運転士になりたいと思いますか?

運転士から急に他の部署へ異動させられて、それまでの少ない給料がさらに減ってしまうことで、生活設計自体が崩れていきます。

だからそういうことがない駅勤務のままいるとか、知らずに車掌になってしまったので、とにかくこのまま車掌で居座ろうと考えてしまう人が増加するのです。

バスでもそうですが、運転士不足は会社のこれまでの仕打ちが大きな原因になっている、私はそう実感しています。

 

ちなみに私が運転士になった理由は、

  • 駅より車掌、車掌より運転士の給料が格段に良かったから
  • 昔は少々のミスを犯しても口頭の注意で終わることが多く、運転士になるリスクがかなり低かった

昔ならば数分の聞き取りと口頭注意で終わっていたようなことでも、今はかなり厳しく責め立てられます。昔は運転士にならなければ損だと私が在籍していた会社では言われていましたが、運転士になると損と言われるように変わっていきましたから。

ただ最近は給与体系を大幅に変えたことで、駅や車掌のまま在籍していると生活が苦しく運転士になって少しでもマシな生活がしたい、そう思わせる仕組みに変わったとは耳にしましたが。
※それでも今の運転士の給料はかなり低いし、駅や車掌の給料なんて…。

 

 

ベテランを粗末に扱ったツケ

地方の三セク鉄道だと国鉄出身者も多く在籍していたのだと思いますが、その方たちはどういう扱われ方をしてきたのでしょうか。
そのあたりはかなり気になります。

私が運転士をしていた晩年、私を含めてベテラン乗務員やベテランの助役を一掃したい魂胆が見え見えな〝指導〟が横行して泣く泣く別の部署へ移動したり、中には会社を去る人が続出しました。
高い給料をもらっていながら役に立たない連中と、会社側は見ていたのでしょうね。
〝指導〟では追いやれない乗務員に対しては、別の様々な口実を使ってほぼ強制的に排除された形もありましたし。

鉄道はシステム的に昔とは比べ物にならないほど安全になった、様々なバックアップが装備されたから経験が浅い人でも問題ない。だからベテラン勢の「昔取った杵柄」なんて必要がない、それどころか邪魔だとして排除していったわけですね。
もちろん若い人でもしっかり仕事をこなせる人はいますし、骨のある人もいます。その一方で昔出来が悪いと言われていた人のレベルをはるかに下回る、言い方はあれですが、そのうち大きな事故を起こすから別の部署へ異動させる方が良いと思われる人もいます。

ベテランはうるさいし、昔の武勇伝を勇しく語られたところで今の時代には通用しないし、そもそもただの老害。

そう思っている人も多くいるでしょうし、このブログを読んでいる若い人にもそういう人がいます。以前Twitterでこういう記事ばかり書いていると老害呼ばわりされたこともありますし。

でも本当に鉄道に携わるうえで必要なことを一切伝承できなくなり、弊害が出ているのは事実だし、この弊害を取り除こうと躍起になるものの結局は頼る人がいないために機械化。
機械化もできない社局はどうにもできずに減便、運休、やがては休止、廃止。

なるべくして今の状態に陥ったとしか思えないですけど、本当にこの先どうしていくのやら…。

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