ブレーキを掛けた時に滑走(スキッド)させて車輪にフラット痕が
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ブレーキを掛けた時に滑走(スキッド)させて車輪にフラット痕が

運転士

滑走(スキッド・スリップ)

私がいた乗務区ではスキッドとか人によってはスリップなんて言っていた滑走。

滑走って簡単にいえば、ブレーキで車輪の回転を完全に止めている状態でレール上を滑っていくもの。

雨や雪の日、あとはレールの踏面(車輪が乗っかかる部分)に油が付着しているときに起こりやすいのです。

晴れていても全制動で電気ブレーキを使いつつ、予備直通ブレーキも同時に使って減速度を極力高めても時には滑走していましたが。

 

そして車輪の回転が止まった状態でレール上を滑っていくと、車輪がその部分だけ削られてまっ平になってしまいます。

この車輪の真っすぐになっている部分の事をフラットこんとかタイヤフラットと言い、車輪が回転してフラット痕の部分がレールに当たるとドンとかコンといった音ともに、車体へ振動が伝わってきます。

速度が速くなる=車輪の回転数が速くなるので、断続的にドンドンドン・・・といった音と振動が伝わり乗り心地を悪くしていきます。

他にもレールを損傷させる原因になるなど、このフラット痕は単なる邪魔者になるわけです。

 

実際には車輪を横から見てもフラット痕は分かりませんし、こんなに大きなものではありませんが、分かりやすく大雑把に描くとこんな感じになります。

車輪が回転して赤の矢印部分がレールに接する時にガタン!という大きな音を発するわけです。

 

 

手動操作でフラット防止

でも運転士だってできるだけ滑走しないよう、フラット痕を作らないようにと気を使いながらブレーキ操作を行っています。

いつもよりゆっくり加圧することで車輪の回転を急に抑えないようにしたり、その分制動距離を普段より長く取るといったことをしています。

最近の電車にはフラット防止装置(ABS)が取り付けられていますが、ちょっと昔の車両にはそんなもの付いていませんでしたからね。

 

フラット防止装置は車輪が滑走しそうになると動作して、ブレーキを機械的に緩めたり加圧したりを繰り返すことで滑走しないようにする装置です。

自動車では当たり前のように付いていますよね。

そこで私が運転士現役時代によく行ったのが、手動アンチロック走法です。

ようはブレーキを緩めたり加圧したりを繰り返して滑走しないようにするだけなんですよ。

でも機械のように瞬時に緩解と加圧を繰り返せるわけがなく、特に電磁直通ブレーキなんてそんなに早く操作なんてできるはずがない。

でも直通管圧力を3kg/cm2から1kg/cm2くらいまで緩めて、また3kg/cm2まで戻す操作を繰り返すとある程度の滑走を防ぐことができます。

たまに癖の悪い車両の中には1kg/cm2くらいまで緩めても滑走状態が続く車両もありました。

それ以上緩めたら今度は過走(オーバーラン)の危険性も出てくるし、そういう時は……、フラット痕かかってこいや!状態で、仕方なく思いっきりブレーキをかけていました……。

 

 

やっぱり恥ずかしかったです

派手なフラット痕を作った直後のその音は、

〝ドンドン〟

という音ではなく

〝ギャンギャンギャン〟

って感じの音がしていました。

それもよく耳にするドンドンという音より数倍は大きくて、その音を聞くだけで憂鬱になっていましたからね。

車輪の円い部分からフラットによる直線に至る部分に角が付いていて、そんなすごい音がしていたのかなって。

 

数十km走行すれば角も少し円くなり、ふつうのドンドンドンって音に変わっていくのでした。

フラットを作っちゃうと運転士としてはやっぱり恥ずかしかった。

早くその電車から離れたい

そんな気持ちでいっぱいになっていました。

 

この恥ずかしさから逃れたいために、昔の運転士はよく自力でフラット痕の角を少しでもマシにしようとしていました。

時速5キロ以下になったくらいで、この角がレールに触れるその瞬間に非常ブレーキを入れるのです。

少し滑ってドン!と止まると、角がやや平らになるのか少しは音と振動がましになる。

平らな部分がもう一つ増えるだけですが、最初の大きな音は確かに軽減はされていました。

今こんなことをするバカな運転士はいないと思いますけどね(バカには私も含む…)

 

 

車輪を転削するだけではなく

フラット痕をなくして車輪をもとの円い状態にするため車輪を削るわけですが、点検や作業の順序があるのですぐに削ることはできず、しばらくは騒音をまき散らし振動を発生させて走り続けます。

数日後に自分が滑走させた車両が回ってきてノッチを入れた瞬間に、

「まだ直してくれていないんだ…」

と感じた瞬間の恥ずかしさは…。

 

車両部の方が車輪を転削するわけですが、削って円くして終わりではないですからね。

車輪を削れば円周の長さが変わる、すると同じ速度でも車輪の回転はそれまでよりも早くなる。

速度計は車軸の回転数をもとにしていますから、調整しないと実際の速度と速度計の数値が異なってきます。

ATSなど各種保安装置は速度計の値をもとにしていますから、かなり支障が出てきます。

転削よりもこの調整のほうが面倒かもしれないと私は思っていますが、実際にはどうなのでしょうね。

 

今の装置は違うのかもしれませんが、車内のディスプレイで次駅の案内などが流れていますが、これも車輪の回転数からどのくらいの距離を走行したのか測り、現在の地点を検知しています。

車輪の転削すると車輪の円周の長さを計り、案内表示の親機のダイヤルを合わせていました。

今の機器だとタップして数値を入力でしょうね……。

 

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