新型車両を営業運転で担当した時のこと
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新型車両を営業運転で担当した時のこと

JR西日本の山陽本線の岡山地区に新型車両が導入されるとかで、ローカルニュースを中心に報道されています。

岡山周辺の電車って115系のイメージがかなり強いのですが、さすがにかなり古くなってきているし、広島や京阪神地区にはそれぞれ新しい車両がどんどん導入されている中でようやくの導入ですから、一般のニュースでも取り扱われるということなのでしょう。

 

以前にも書きましたが、私がいた会社では新型車両導入時はまず机上で簡単な説明を受けて、その後に車庫で実車を見ながら機器の配置などについて説明を受けますが、実際に運転席に座って運転するのは営業運転で当たってからのこと。

習熟運転のようなことは一切行わなかったのです、私がいた会社では。

何も分からない状態で初めてお客さんを乗せて運転するのです。

このあたりのことも以前に書いていますが、戸閉合図の場所が分からない状態で出発合図のベルが来たので、とりあえずブレーキを緩めてノッチを入れたら動いたので、ドアをは閉まっているのだなと思いながら運転中に戸閉合図の場所を探し当て、どのような感じでブレーキが効くのかも分からないからいつも同じような場所で入れてみるものの、あきらかにブレーキが効きすぎ。

とりあえず1段緩めてみると、今度は想像以上に伸びていくからあわてて一段追加制動。

みたいなことを繰り返しながらなんとか終点へ到着。

乗務場所を交代すると先頭車には平日の午前中にもかかわらず、5~6人のカメラを持った人たちがあちこちを撮影をしまくっている。

ヒマなんだなぁと思いながら乗務員室へ入ろうとすると、いろいろと質問してくるのです。

「この電車のモーターはどこのメーカーが作っているのですか?」

そんなこと私が知るはずもないので、

「モーターと言えばマブチでしょ」と答えてみたり、

「やはりこの電車はユニットブレーキを採用しているのですか?」

ユニットブレーキって何?

チンプンカンプンな私は

「フツーのブレーキです」

たぶん私に車両のことを聞いてもまともには答えてくれないと悟ったのか、

「連結面の転落防止用に設置している幌はやはり外ホロと言うのですか?」

私は外ホロと言う名前をこの時初めて知ったのですが、とりあえず乗務員の間で冗談っぽく言っていた、

「うちでは〝落ちないクン〟と呼んでいます」

 

ほかの電車好きな人からも

「この電車はどのくらいのスピードまで出せますか?」

「運転はしやすいのですか?」

「運転台の右上部は何が表示されるのですか?」

始めてこの新型車両を運転して、さっきまで戸閉合図の表示灯の位置も分からなかった人間に何を聞いても無駄です。

すべての質問に首を傾げるだけでした。

 

たしかこの新型車両が運転を開始して2日目か3日目のことだったと思いますが、まったく車両の特徴が分からないまま運転していたし、いろいろ質問されたところで何も知らないし。

※今でもモーターのメーカーなんて知りません、運転士には全く関係の無いことですから

 

これ以前にも、これ以降にも、もちろん別の新型車両を担当しているのですが、不思議とデビューから1か月以上経過してからハンドルを握っていますので、この時のような質問攻めは経験したことはないですね。

そういえば一度この話以降のことですが、新型車両の初日に当たりそうになり、しかもセレモニーを行うから駅長から花束を受け取れみたいなことがあり、新聞社やテレビ局もその様子を取材に来るからと言われてマジで嫌になり、別の運転士に仕業(シフト)を替わってもらったことがあります。

新型車両は登場後1か月以上経過してからハンドルを握り、そして廃止になる車両は1か月以上前までに最後のハンドルを握る。

それくらいがザワザワもしないから気楽で良いと思います。

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