薬品がこぼれて6人がヤケド
2023年10月9日、仙台駅に到着した「はやぶさ52号」の乗客から、車内で液体に触ってヤケドをしたとの通報があった。
地質調査会社の社員がカバンに入れていた硫酸とみられる液体がこぼれだしたようで、これに触れた乗客がヤケドを負ったのです。
その後の報道によると硫酸はペットボトルのような容器に入れていたようですが、濃度が低くてあまり長い時間でなければ溶ける可能性は低いものの、濃い硫酸はやはり溶けるようです。
ただ白い煙が上がっていたことなどを考えると、硫酸に水などが触れて発熱して爆発したのかなという印象を受けますが、どうなのでしょうね。
仕事で使用するために持っていた硫酸ですが、硫酸って皮膚に触れるとかなりひどいヤケドを負います。
それだけにできれば乗用車などを使ってほしいところですが、時間等の関係で新幹線など公共交通機関を使うのであれば、せめて耐薬容器(プラスチック製品もあります)で蓋をきっちり閉めるなど密封状態にするのは当然のことだと思いますが。
車内への危険物の持ち込み
当然ですが車内への危険物の持ち込みには制限があります。
JR東日本の旅客営業規則の別表第4号 危険品の8項に
酸類
(1) 強酸類
硝酸、硫酸、塩酸、塩化スルホン酸(塩化スルフリルを含む。)、沸化水素酸次の各号に掲げる物品は、手回り品として車内に持ち込むことができる。
(1) 酸類で、密閉した容器に収納し、且つ、破損するおそれのないよう荷造した0.5リットル以内のもの。
持ち込み自体は可能ですが、条件として密閉した容器でかつ破損しないようにした500ml以内となっています。
これは私が在籍していた会社も含めて、ほとんどの会社の営業規則の別表に同様の記述があります。
ただチェックはまったくされていないというか、現状では不可能な状態になっています。
自動改札でピッとして入場し、ピッとして出場するスタイルが当たり前になっていることと、お客さんの側が旅客営業規則の中身を知らないことで、ほぼなんでも自由に持ち込めるし持ち込んでも良い、そんな感覚になっていますしね。
ちなみ営業規則なんて知らないとか、勝手に鉄道事業者側が決めたことに従う必要はない!なんて思っている方もおられるでしょうね。
でも附合契約といって
一方の当事者が契約内容をあらかじめ定め(この場合は鉄道事業者側)、もう一方(利用者)は交渉権を持たずに定められた内容に従って契約しなければならないので、知らないとは言えないのです。
※今は多くの鉄道事業者がHP上で旅客営業規則を公開しています
昔は改札の周りに危険物持込禁止の掲示もあったが
私が駅勤務をしていたのは1981年春から1983年春まででしたが、当時は一部の駅に危険物持込禁止についての掲示がありました。
ポスターなどではなくプラスチック製の小さな板でしたが、割と目立つところに貼ってありました。
昔はバスの乗降扉横の車体にも同じような内容のものが貼ってあったけど、最近は車内に貼ってあるようですね。
改札周辺にはほかにも手回り品の大きさを示す模型?が置いてあったり、今とは違ってお客さんに伝えるべきことを乗車前に周知するという方法を取っていました。
今は何でも自社のHPを見ろという感じで、利用者側がアクセスして初めて知る状態が当たり前になっていますが、いくら符号契約だからといってそれで良いのかなと疑問に思うところもあります。
ただ隠し持って乗車することが現状では容易で、悪意を持った人が危険物を持ち込み車内にまき散らすということも考えられるわけで、新幹線などは飛行機並みのチェックが必要かもしれないと個人的には思っていますが、どう思いますか?