私が運転士の見習だったころのはなし-4
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私が運転士の見習だったころのはなし-4

ネットのニュースでこんな記事を見つけました。

「見習い」指導する立場の運転士、特急乗務中にウトウト…乗客から指摘

運転士の見習に操縦方法を教えるなど指導する立場にある指導運転士が、見習が運転する横でウトウトしてしまったという記事です。
この記事を読んだ私の感想ですが
「こんなことでニュースになる時代なんだなぁ」
ってところですね。

私自身が指導運転士も務めていましたから、ウトウトしちゃう気持ちが痛いほど分かるんですよ。

 

 

私が運転士見習だったときの指導員(師匠)はすごく真面目な方だったのですが、それでも隣で座りながらよく居眠りしていましたよ。
乗務員室に添乗した人は、担当している運転士の喚呼を復唱することになっています。
見習が運転していて喚呼すれば、隣にいる指導員は復唱しなければなりません。
それ復唱の声がだんだん小さくなったり、時々復唱しなかったりするようになります。
見習なのでむやみに横を見るわけにもいきませんが、ちらっと指導員の顔を見ると寝てるんです。

私が見習についていた時期は11月の後半から3月末にかけてだったので、季節的には寒い時期です。
でも日差しがあってポカポカするときってやっぱり眠たくなるみたいです。

復唱の声が小さくなったり無かったりするだけではなく、手に持っていた筆記具やノートを落としたりするんです。
たいていは物を落としたら気付くのですが、ノートを落としてパサッていう音がしてもそのまま寝ているときというのもありました。

見習が必死で運転しているのに・・・って気持ちは少なからず持ちました。

 

 

私自身が指導運転士として運転士見習の横に乗って、はじめてウトウトする気持ちが分かりました。
たしかに冬の寒い時期に日が差し込んできてポカポカしだすと眠たくなります。
でもそれだけが理由ではなかったんですよね。

数か月かかって教えてきた見習が、こちらからほぼ指示を出さなくてもそこそこ運転できだすと、指導運転士はある意味横に乗っているだけって状態になり眠たくなりやすくなります。
そして見習がキッチリ運転する日は指導員はホントに眠たくなります。
でも見習が危なっかしい運転をしているときや、どうにもうまく止められない駅がいくつか続くと、隣で見ている指導運転士は目がぱっちり開いてしまいます。
私は筆記具やノートを落とすまでにはなったことはありませんが、時々復唱が飛んでしまう場面はやっぱりあったようです。(見習が言ってました)

私の師匠は眠たいのが我慢できなくなると、ストップウォッチでよく遊んでいましたよ。
7秒77が出るように神経を集中してストップウォッチを押すことで、ウトウトを回避しようとしていました。

ちなみにストップウォッチは、運転士見習がどのくらいの減速度で列車を止めているのかを測るために指導運転士が持っていました。

私は見習を相手に喋ることでウトウトを何とか回避していました。
見習にすれば迷惑だったと思いますが。

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