エアコンの水漏れ?
電車に乗っていると天井から水滴が落ちてきた、という経験をされた方もいらっしゃると思います。
冷房を使用する時期になると発生するのですが、原因は2つ考えられます。
1つ目は滅多にありませんが、本来は外部へ排出される水が電車の室内へ流れ出す現象。
家庭用でもそうですが、エアコン作動させると急激に空気が冷やされることで熱交換器に結露が生じ、その結露をまとめて外部へ水として放出します。
この外部へ放出するべき水が天井内に溜まってしまってポタポタと客室へ落ちてきてしまいます。
簡単に言えばエアコンからの水漏れですね。
私が車掌として乗務していた時に一度ありまして、車両課の方に天井のパネルを外すから周囲のお客さんを別の座席へ移動させてほしいと依頼され、それに従って車両課の方と一緒に乗車してきた助役とともにお客さんを避難させます。
駅への発着時以外は客室で車両課の方の処置を見ていたのですが、エアコンの吹き出し口あたりの天井パネルを外します。
その時にそこそこの量の水が落ちてきます。
ポタポタといった量ではなく、どっと落ちてきてます。
なのでお客さんを避難させておいて正解ですよね。
それで天井内に溜まった水を拭き取り、水が落ちてきていた天井パネルの隙間部分に雑巾を複数枚置いてパネルを戻し、応急処置は終了。
走行中の車両ですからこれ以上の処置なんてできるはずもなく、入庫してから本格的に修理にあたるとのこと。
エアコンから出る水(結露水)を流す排水経路のどこかで詰まっている疑いがあるとのことでした。
しばらく走行して車庫のある駅で運転打ち切り、代車を出庫させてそちらへ乗り換えとなりました。
ただこのパターンはあまり発生しないですね。
エアコン吹き出し口周りの結露
エアコンからの水漏れが原因ではなく、よくあるのは湿気の多い日にエアコン吹き出し口の周りの結露がポタポタと落ちてくるパターンですね。
電車の天井パネルはFRP?かな、とにかく金属ではありませんが、エアコンの吹き出し口はたいてい金属製だと思います。
そしてプラスチックやFRP?に比べて金属部分のほうが冷えますから、湿気が多い日はこの吹き出し口に結露が発生しやすくなります。
乗車中のお客さんの頭などにポタって水が落ちてきて、あれっと思って天井を見ると吹き出し口の周りに水滴がたくさんあるのを見つけて、
「エアコンから水漏れしてる!」
そのお客さんが車掌や降りた駅で駅員に当然ですが苦情を入れ、それで車掌がその現場を見に行くとたいていは吹き出し口が冷やされて結露ができるパターンがほとんどです。
吹き出し口の金属部分に水滴がいっぱい付いているので、ぱっと見は水漏れしているように見えますけども、本当にエアコンから水漏れしていたら、吹き出し口だけではなく天井パネルの継ぎ目からシミ出てきます。
処置としては結露を拭き取るか、エアコンをしばらく送風にして車内の温度を上げるかしかありませんが、選択としては結露を拭き取るしかありませんので、拭き取ることになります。
天井部分なので少し高さがあるし走行中に水滴を拭き取るのも難儀するので、駅や乗務区によっては少し長い棒(1メートルくらいかな)の先端に雑巾を括り付けた棒(通称〝松居棒〟)を常備していたりもしました。
エアコンからの結露が落ちてきたとクレームがあると、助役が松居棒を持って走ってくるわけです。
私が車掌の頃(昭和50年代末期)の話なので今こんな棒を用意はしていないでしょうし、昔とは違ってエアコンの性能が良くなっていると思うから、結露が付いて困るなんて話も今はあまりないのかもしれないですね。
エアコンからの水漏れではなく雨漏り…
雨がそこそこ強く降っている夏の夜。
涼しければよかったのですが、蒸し暑くてエアコンを切れる状況ではない。
当然ですがエアコンはつけっぱなしなわけですが、休憩所にいると一本の無線が入ります。
「お客さんから水が漏れてくるとの申し出がありました」
助役たちにしてみれば、
「蒸し暑いからまた結露して水が垂れてきたんだろう」
みたいな感じで〝松居棒〟を片手に数人が当該列車へと走っていきます。
でも当該車両の車内に入り、水漏れをしているという個所を見るとエアコンとは全然関係のない場所だった。
側面の表示幕装置の部分で、水がポタポタではなく滝のように流れ続けている状態でした。
シートまでびっしょり濡れており、とてもではないけど運転に使用できないということですぐに車両の振替手配。
表示幕装置が積まれているスペースに、屋根のほうから流れてきた雨水がどこからか入り込み、客室側へ流れ込んでいたのが原因でした。
ちなみに電車の雨漏りですが、全く無いということはなく、在職中に数度聞いたことがあります。
担当していた列車ではありませんでしたが、一度だけ見た雨漏りは天井からそこそこの勢いで水が落下し、やたらと黄色っぽい色だった記憶があります。