従業員間で共有するための隠語
どのような業種でも隠語ってあると思います。
ただ一般的に隠語って従業員だけが分かれば良い言葉、つまりは共有するためのものだと思いますし、お客さんに対して使う言葉ではないと思うのです。
とあるスーパーで聞いた話ですが
〇〇市からお越しの〇〇さん→店長を呼ぶときの隠語
〇〇課の〇〇さん→万引き犯がいるときに店員に警戒を呼び掛ける隠語
他にもたくさん聞きましたが、これらはすべて従業員間で共有されるためのもので、お客さんがこれらの放送を聞いても不快にならないために隠語を使っているわけです。
忙しいから応援要員がほしいという放送はスーパーやホームセンター等でもよく聞きますが、これはお客さんに聞いてもらう意味合いもあると思うのです。
「混んでいるのだから、隣のレジも開けろよ!」
なんて内心思っている人もいるでしょうから、お店としても応援要員をすぐに派遣しますよ、というアピールもできますしね。
だから隠語ではなく、
「〇番レジにお入りください」
というストレートな言い回しをしているのだろうと思っていますが、違うのかな?
お客さんへの説明に誤魔化す表現を使う
信号確認
設備点検
車両点検
安全点検
安全確認
お客様対応
・・・etc
信号やポイントの故障にATSや線路・踏切の不具合、あとは乗務員のミスに起因するものがあって、一部には暴力行為や痴漢などお客さんによるトラブル行為のさいのアナウンスの仕方です。
最近の鉄道って、いま利用している人にはいったい何が起きているのかが分からないことが多いです。
上にいくつか並べてみましたが、スーパーとは違って鉄道ではお客さんに対して隠語で説明しようとすることが増加しています。
その多くは故障など鉄道会社側が引き起こしたものであり、まるで自分たちへクレームが来ないようにするための隠語じゃないの?と思うようなものばかり。
だって自分たちも被害者だと言わんばかりに、人身事故の時は明確に案内していますよね。
「〇駅において人身事故が発生し、上り方面の運転を見合わせております」
結局は自分たちに非がある行為に関して、できるだけ和らげて伝えようとしているだけなんじゃないか、そんな気がしています。
結局は自分たちのミスを伝えたくないだけ
不思議なことに鉄道会社からの説明の放送などを聞いている人には真実は分からないのに、スマホやPCでネットニュースやTwitterなどを見ている人は事実が分かる。
こんなに利用者に対して不親切な業種って他には無いかもしれないですね。
痴漢や盗撮や暴力行為などが発生した当該の車内や駅構内では「お客様対応」という表現でいいと思いますが、その他の列車ではストレートに伝えても支障はないと思いますし、「こんなことをやると掴まるぞ!」との警告にもなると思うのですが。
鉄道会社側のミスや故障などに関してはストレートに伝えるほうが良いと思うのです。
「〇〇駅の上りにおいて運転操作ミスがあり、約○分遅れで運転再開しています。この影響でこの列車も約○分遅れで運転しています」
今の時代はどこで何があったのかなんてすぐにTwitterなどですぐに広がるのですから、隠さずにストレートに伝えるほうが良いのではないかと思うのです。
私が勤務していた会社はお客さんにわりと事実を伝えるほうでしたが、それでも同僚のミスの時は事実が分からず困ったことが何度もありました。
例えば車庫内で入換信号機を見落として冒進してポイントを破壊して脱線した時なんて、ホームで列車の到着を待っていた私は何があったのか分からず右往左往しました。
だって本当は出庫車両が先に出発だったのにその列車が車庫内で脱線事故を起こしたものだから、到着した列車と交替して運転台に座ったとたんに出発信号機がG(青)現示になって、出発順序が間違えているのでは?と思って無線を入れるものの何の返答もない、ってこともありましたからね。
お客さんへの隠語である「設備点検」という言葉だけでは、乗務員である私も何があったのか分からないというとんでもない事態を引き起こしていたのですから。
最近では大阪メトロの、
「お客さまにお知らせいたします。運行乱れのため、御堂筋線で遅れが出ています」
という案内が「メトロ構文」として有名になっていますが、遅れが出ているから運行が乱れているのであり、もう何が言いたいのか分からない状態になっています。
これは乗務員のミスの場合もありますが、理由のほとんどはホームドアを設置したのに適切なダイヤに修正していないことによる遅れが原因。
ホームドアを設置すると停車時間を若干長くしないと定時運行が難しいのに、そのまま放置している大阪メトロの責任なような気がします。
この「メトロ構文」自動で流れるらしく、想定していない遅れが発生するとシステムが自動的に流すようですね。
故障や事故など鉄道会社側に責任のある事象で列車に遅れが出たとき、ストレートに何があったのかを周知させるのがそれほど恥ずかしいことなのかな?
曖昧そして胡麻化そうとする言葉の使い方が最近多くなっている気がします。
点検・確認・対応の本来の言葉の意味から言っても胡麻化そうという魂胆が見えてます。
信号確認なんて運転士が日常的に業務として行っているのに「信号確認のために遅れています」っていうのも、本当は「メトロ構文」と同じくらいに妙な言い回しですからね。