つい最近ネットの記事で
小田急の運転席、他社と一味違う「添乗者」の任務〝実は孤独な運転士の仕事〟後輩も声がけ安全パトロール
という記事を読んだのですが、会社によって考え方がずいぶん違のだなぁと感じました。
私が勤務していた会社では、運転士であっても乗務以外では運転席へ立ち入ることができません。
運転の見習を受ける場合は、指導役も見習生も添乗が認められる腕章または胸札(名札)がなければ運転席へ立ち入ることも許されません。
ベテランの運転士が若い運転士にアドバイスを送るために添乗するなんてこともできません。
添乗が許可される腕章を借りれば乗車もできるのですが、いちいち乗務区側に申請するのも面倒なので、見習をつけるとき以外に他の運転士が運転する乗務員室へ添乗したことはないですね。
添乗して指示指導するのは乗務区の助役以上の者。
助役以上の階級の者は、所定の名札を着用しておれば添乗できるという決まりになっていました。
私が勤務していた会社で助役以上が添乗するメンツとコースを決めるのは前日の夜でした。
実は指定されている仕業を他の運転士や車掌と替わることが多くて、2日前に決めたりなんかすると当日添乗しに行くと別の運転士だった、ということが頻繁に起こっていましたから。
でも今は指定された仕業にそのまま就いているのかな。
助役以上による指導は客室から隠れて運転士の動作をチェックする〝裏面添乗〟もありました。
わざわざ制服から私服に着替えてコソッとチェックするというもので、これはたまに乗務区とは別に本社の大卒の人も行ったりしていました。
助役の裏面添乗もたいがいは〝粗探し〟でしたが、本社の人間の〝粗探し〟は度を超えていましたね。
髪の毛が耳に少しかかっている
指差しのタイミングが遅い
乗務カバンに付けているキーホルダーが目障り とか
仕業で便乗が指定されている場合も運転席へ入ることはできず、原則客室に乗車して移動(便乗)しています。
ただし車掌室については所定の制服制帽を着用しておれば乗車(添乗)可能で、客室が混んでいる時には車掌室へよく乗車(便乗)していました。
運転士って孤独な仕事というのは、当たっているような的外れなような・・・
たしかに基本的には一人で仕事しているから孤独ではあるけど、孤独感を感じるような暇はないです。
集中してないとミスって大きな事故につながることも考えられるし、昔は多少の過走(オーバーラン)は日常茶飯事のことでどうでも良かったけど、今はそうはいきませんからね。
ただ神経をすり減らしすぎて精神的に病む人も少なくはなかったし、出社しようとするけど乗務区の近くまで来たら足がすくんで出社できなくなるような人もいました。
孤独の中で神経をすり減らすことに疲れ切ったのが原因なのか、もっと大きな別の要因が原因なのか。
運転士によっては車掌と一緒に乗務するのが精神的に嫌でワンマン運転を好む人もいたし、孤独がどこまで悪いものなのかはわからないです。
ちなみに私は20年以上運転士をしていましたが、孤独を感じたことってないですね。
結局運転士をしていて気分転換になるのは、勤務中だと乗務区や休憩所にいるときのバカ話かもしれません。
もうホントに運転士と車掌を交えてバカな話ばかりしていましたよ。
休憩所で腹を抱えて笑って、その笑いの余韻を持ったまま乗務に向かうと、沈みがちな気持ちも少しは気楽になりますからね。
もちろんバカ話以外にも車両のクセのことや線路状態の共有など、少しは仕事に関する話もしますよ。
そういう話の中でここには書けない電車の運転上の裏話なんかもよくしていたし。
小田急さんは比較的オープンな会社なのかな
私が勤務していた会社はまるでお役所的な・・・