富山地鉄・保線作業員が列車と接触して重体
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富山地鉄・保線作業員が列車と接触して重体

保線作業員と列車との接触事故。

報道によると、上市発富山行き普通列車が越中三郷~越中荏原間の踏切近くで、枕木の下に砂利を敷き詰める作業中(突き固め?)の保線作業員(社員)と接触した。

保線作業員は重体とのこと。

6名による作業でうち2名は列車監視、残る4名が砂利の敷き詰め作業を行っていたとのこと。

単線なので上下両方向に1名ずつ監視員を立たせており、列車と接触した作業員の退避遅れが事故原因のようです。

運転士も線路内に残っている作業員を見つけ、警笛を鳴らすとともに非常制動の措置を取ったものの間に合わなかったということです。

 

4名のうち1名の退避が遅れたとのことですが、列車監視員からの退避指示は適切だったのか、その指示を適切に守っていたのかなど、いろいろと思うところはあります。

私の経験からすると、列車監視員は運転士に対して退避完了の合図を送ってくるのですが(私がいた会社では監視員が腕を水平に示す)、その後ろではまだ作業をしているということも少なからずありました。

列車監視員は列車が接近したことを認めて、とりあえず作業員に退避の指示を出したものの、待避が完了したことを確認せずに運転士に合図を出すといったことも多かったのだと思います。

また監視員からの合図を確認しても、あと少しは作業をしても大丈夫だと判断して線路内に残って作業を続ける、ということもあったようです。

今回の富山地鉄の事故では4人中3人は事故に遭っていないことから、退避指示のあと少しだけ線路内に残って作業を続けて一人だけ逃げ遅れたのかもしれません。

そのあたりは警察が事故状況を調べる過程で分かってくるとは思います。

 

私がいた会社での話ですが、昔は作業標識を確認した時点で警笛を鳴らし、列車監視員を確認すれば再び警笛を鳴らし、そして監視員が退避完了の合図を送ってくれば、短く警笛を鳴らすということを行っていました。

一つの作業に対して3回は警笛を鳴らしていたわけです。

これまでにも書いてきましたが、沿線住民からのクレームが相当多いことから、基本的に警笛は省略されていきました。

1時間くらい作業を続けられると、いったい何度警笛の音を聞かされるのかという視点から考えると、住民からのクレームはごもっともです、だってうるさいですからね。

ただ本当に危険であれば運転士は警笛を鳴らさなければいけません、運転士の義務の一つですから。

今回の富山地鉄でも警笛とともに非常制動の措置を取っていますから、運転士としては義務を果たしていると思われます。

 

運転士の立場からすると、なぜ線路内に残っている作業員を、他の作業員が引きずり出してでも事故を防止してくれなかったのかと思ってしまいます。

監視員が作業員に対して退避の指示を出した時に作業員側は、なぜこんなに早く退避の指示を出すんだ、列車はまだかなり遠くを走っているではないか、こんなに頻繁に作業を止められたらいつまで経っても作業が終わらないではないか、みたいに考えることがあると聞いたこともあります。

 

飛び込み等の人身事故は運転士も常に心構えていることからあまり気にはしませんが、作業中の社員との接触は想定外の事だし、よくある人身事故以上に運転士は精神的に参ってしまいます。

被害に遭った作業員の無事を祈りつつ、運転士も精神的に追い詰めらないことを願っています。

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