4月23日に発生した知床遊覧船所属の観光船不明事故。
船首部分に亀裂があったとか、本社の無線アンテナが破損して使える状態ではなかったとか、衛星携帯電話も故障していた(船に積んでいなかった?)とか、甲板員としての経験がほぼ無いのに知床で船長になっていたとか、終始すべての責任を船長になすり付けるとか、安全基準の規定が明確にないとか、他の船長が出航を見合わせるべきとの忠告を無視して出港したとか・・・
とにかく滅茶苦茶な社長のもとで運営されていたばかりに、今回の事故につながったとしか言いようがありません。
風と波に対する警戒感のあまりの低さに唖然としましたが、この社長は会見で自然現象なので天気図がいつも正確ではないなんて発言をしました。
たとえば1986年に発生した余部鉄橋列車転落事故では、運転規制基準の風速25m/sを超える強風が記録されたのに、結果的に列車を止めることなく運行させたことで橋梁から落下する事故となりました。
また後日調査した際には、2つある橋梁の風速計のうち1つは故障し、もう1つは精度がかなり落ちていたと言い、実際には相当な強風が吹き荒れていたのではないかと言われています。
福知山の運転指令が、すぐに停止手配を取っていればこの事故は防げたのかもしれません。
風速計のチェックをキチンと行っておれば、防げた事故だったかもしれません。
指令員の判断で止めるのではなく、自動的に信号をR(赤)にするなど、強制的に列車を止めるシステムならば助かっていたかもしれません。
※この事故で鉄橋下の工場で働いていた同僚の親類が亡くなっているので複雑な思いがあります。
2005年には羽越本線で「いなほ14号」が突風が原因の脱線事故が発生し、これ以降は強風が予想される場合には事前に運転を取りやめるなど、安全な方向へとシフトしています。
陸上のレールの上を走る列車でも近年は風に対する対策が進んでいるのに、今回の知床での事故は海をあまりにも甘く見すぎたことが原因です。
でも鉄道だってミスを繰り返してきたわけで、あまり偉そうなことは言えないのかなと個人的には思います。
私が運転士時代に遭遇した話で、以前にも書いていますが抜粋して載せます。
私が勤務する会社でこのようなことが起きたのですが、同じ関西の山陽電鉄では2012年5月28日に列車無線が使えなくなるトラブルで、全線で約2時間半も運転を休止しています。
私の会社での一件と時期的に近かったのでよく覚えています。
そして私が勤務する会社が、あまりにも安全対策が疎かで上司の責任感の欠乏が著しく、例え部下であっても忠告に対して恫喝(パワハラ)で返す、そんなひどい会社だということをこの山陽電鉄での対応を報道で知って、愕然としたことを本当によく覚えています。
今回の知床遊覧船での人災を、どうしても自分自身が勤務していた関西の大手私鉄と重ね合わせてしまうのです。
両方に共通するのが、口ではお客さんのためと言いながら、人命とか安全なんて二の次で金なんだなって。