不正乗車が多く最短距離のきっぷを対面販売のみに
NNNの記事によると、小倉駅で初乗り区間(西小倉までの170円)の乗車券を購入して無人駅で降車する際に差額を精算しない不正乗車が多発しているとして、小倉駅の券売機では170円区間の乗車券の発売を中止、みどりの窓口や改札で対面での発売に切り替えているという。
不正乗車やめて”JR九州が訴え 無人駅で下車…「170円切符」券売機での販売を一時中止に 福岡
初乗り区間の乗車券を利用する人すべてが不正乗車をしているわけではなく、JR九州も被害件数は把握していないというかできないわけですが、不正乗車に関する目撃情報は多数寄せられていると言います。
現在JR九州の駅は571駅あるのですが、そのうちの338駅は無人駅となっていて、有人駅から乗車する際は初乗り区間の乗車券を購入して乗車し、無人駅では料金不足のままそのまま出場。
無人駅から無人駅までの乗車では、一切お金を支払わずに無賃乗車する人がいるようです。
記事では無人駅を中心に抜き打ちで見回っているとありますから、私がいた会社で言うところの〝特改〟(特別改札の略)を行っているようですが、特改を行っている時だけ料金を払う人もいるでしょうし、効果は少ないでしょうね。
性善説は成り立たない
定期券を持っていて出場時には定期券で出られるけれど、乗車時には1区の乗車券で入場するキセル乗車は昔から多かった。
(たばこの葉を詰める部分と口にくわえる部分は金属製だけど、その間は木製だったキセルになぞらえたキセル乗車)
これならば最低でも定期券は購入しているわけだし、入場時にも初乗り乗車区間の乗車券は購入しているから、かなり少ないけれど会社としては収入はある。
昔私がいた会社では、これならば良いんじゃない?という考えが駅員の間にも上層部にもありました。
詳しくは以前書いた
をご覧ください。
ところが無人駅から無人駅まででまったくの無賃乗車となると会社は無収入となりますから、かなり慌てますよね。
ただJR九州の場合は株式上場以降は経費節減にばかり目を向けたことで、無人駅が急速に増え、ワンマン列車もかなり多く、特急列車もワンマン運転で運行している列車があるとか。
残念ながら性善説に基づいた経営や列車の運行は成り立たないことが証明された形になっています。
例えば初乗りの乗車券が200円だとしても、最も遠い区間の運賃が1000円でその区間をキセル乗車されても、最低でも1/5の収入を得ることができているし、定期券を購入した人であればさらに損害額は少なくなるので、私がいた私鉄ではそれほど目くじらを立てなかった。
ところがJR九州の場合は無賃乗車のほか、定期券無しで初乗り区間の乗車券だけで無人駅で降りられれば、私がいた私鉄とは比較にならないほどの損害を被るわけですから、さすがに静観はできないでしょうね。
一般利用者が不公平を感じないように対策を
不正乗車による損害額よりも駅無人化などの合理化策のほうが、経費節減に効果があれば会社としてはあまり動かない可能性はありますが、今回はもうそれどころではないところにまで来ているのかも。
そこそこ乗降の多い駅でも無人化することで、人件費などの節約はできています。
でも簡単にきっぷ無しでも入出場できる状態のまま放置では、そりゃお金を払うのがバカらしくなるでしょう。
今から駅員を再配置することは難しいが、だからといってこのまま放置では、正規の料金を支払って乗車している人からクレームが出てもおかしくはない。
無人化やワンマン列車増加のほか、列車の編成両数の短縮や運転本数削減などで多大な迷惑を掛けられている正規料金を支払っている人にすれば、いい加減にしろって思いますよ。
ある程度の乗降人員がありながら無人駅となっている駅には、最低でも自動改札とカメラを設置して、不正乗車しにくい、不正乗車した人は映像で確認できる。
またワンマン列車での車内での特検を頻繁に行うなど(現場では人員がいないでしょうから本社や支社の人が行う)不正乗車は許さないという姿勢を見せなきゃダメでしょ。
小倉駅の券売機で170円区間の乗車券の発売中止は8月10日までらしいのですが、結果として次の区間までの乗車券の発売増となれば、本腰を入れて対策する必要があります。