白杖を挟んだまま電車出発 挟んだことより非常ブレーキの不使用が
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白杖を挟んだまま電車出発 挟んだことより非常ブレーキの不使用が

車掌

車掌から離れた場所だと杖は見えないが

9月24日14時40分ごろ、青梅線福生駅で乗車しようとした視覚障害のある男性の白状が、ドアに挟まれたまま出発するというトラブルがあったそうです。

右手で持った白状と左手の指がドアに挟まれ、左手の指はすぐに抜いたのかな。

大きなけがもしていないとのこと。

ただ杖は挟まれたまま電車は次駅まで走行し、他の旅客が回収したとのことです。

運転士時代に杖ではなく白色のビニール傘でしたが、どの程度の距離(両数)を離れると直視で確認できなくなるのかを車庫で実験(業務研修)したことがあります。

傘だけをドアに挟んで車掌にドアを開けさせる〝駆け込み傘〟対策での実験でしたが、ビニール傘をはさまれた状態で視認できるのは4~5両が限界でしたね。

杖となるとビニール傘より細いですから、視認距離はもっと短くなると思います。

またドアが完全に閉扉していないときに点灯する車側灯ですが、ビニール傘の場合は点灯する時もあれば消灯するときもある、そんな感じでした。

傘の先や根元の方など細い部分だとまず消灯するでしょう。

なので杖の場合はほぼ確実に車側灯は消えるでしょうね。

車掌が乗務する車両から5両以上離れた車両で杖をはさんだ場合、おそらく車掌は杖をはさんでいることに気付かないでしょう。

 

 

車掌はなぜドアを閉めたのか

今回の件では白状が折れたといった情報は記事にはありませんでしたので、手で持っている部分に近い場所をドアに挟まれ、杖の大部分ははさまって車内にあったのだと思います。

そして乗車しようとした時に左手でドア付近を持っていた。

だとすると、それだけ車両に接近しているお客さんがいる状態で、車掌はなぜドアを閉めたのかということになります。

腕を伸ばしている状態は、車掌からやや離れたいる場所であっても比較的確認しやすいです。

今回の場合(おそらく)白状は根元部分がはさまれたと思いますので、右手もかなり車体に近い部分にあった。

そして左手はドア付近を持ちながら乗車する姿勢だった。

ということは体全体が車両に近い位置だったはずで、通常はその状態の場合はドアを閉めることはないと思うんですよね。

視覚障害の方が単独で乗車されるとき、当然ですがドアの位置って分かりづらいもの。

だいたいこの辺りかなと、それこそ手探りの状態で車体を触ったりしながらドアの場所を探します。

そしてようやく見つけたドアから乗車しようとした時、当該車掌はおそらくですが

「何をしているんだろう?」

と思ったのでしょうね、視覚障害の方だと思わずに。

乗務員をしておれば視覚障害の方が鉄道を利用される場面を何度も見ているでしょうし、その動きから視覚障害の方だなと分かるものなのですが。

学生がふざけてなかなか乗車しないとでも思ってドアを閉めたのかもしれませんが、しかし列車に相当近付いた状態だったはずですから、ドアを閉めた行為は容認されません。

 

 

非常ブレーキを操作して列車を止めるべき案件

杖や左手の指を電車のドアに挟まれている状態で列車を動かすというのはさすがに危険すぎます。

左手の指がすぐに抜けて良かったのですが、白状には一般的に手首を通すようにストラップが付いており、もしもストラップに手を通した状態だったら、このお客さんは引きずられていたと思われます。

JR東日本の広報担当者だと思いますが、緊急停止すべきだったと取材にあたった記者に述べているようですが、列車が動き出した瞬間にまだ車両に最接近している状態を確認すれば、そこは躊躇なく非常ブレーキを操作しなければいけません。

指や杖だけではなく服の袖口などがはさまれていることは十分に考えられることで、引きずられてホームから転落するという死亡事故も過去に起きています。

※私が所属していた乗務区の同僚車掌が、コートの裾をドアに挟んでいることを気付かずに電車を発車させ、ホーム端でその旅客は軌道内へ転落。幸い大きなけがを負うこともなく公表もされなかったので内緒の事件となっています。その時の車掌は何をふざけて電車と一緒に走っているのかと思ったと……

ホームに係員を配置するのは現状無理でしょうから、京阪電車みたいに運転士も必ず後方を確認するのが安全上有効だと思うけど、労組に「労働強化につながる」と反対されそうで難しいかな……

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