まだ降りちゃダメ!交替ではないのに間違って降りていく乗務員
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まだ降りちゃダメ!交替ではないのに間違って降りていく乗務員

運転士

乗務員のお仕事は時間割通り

乗務員は乗務行路表で定められたとおりに乗務します。

分刻みの出勤時間、交代時間、出庫時間、どの駅までどのような列車種別で担当するのかがあらかじめ決まっています。

私がいた乗務区では乗務行路表は番号順に小さな冊子になったものを乗務員全員に配布していましたが、同じ会社なのに別の乗務区では紙に刷られたものが配られて、自分で切って冊子状にして持っていたとか。

車掌は乗務中に行路表を見ることができますが、運転士はカバンをゴソゴソするわけにもいかず、取り合えず今乗務している列車の時間や種別などを知るにはスタフを見る以外にはなかったですね。

スタフとは担当列車の列車種別や停車駅に時間などが指示されたもので、運転台に立てかけたり差し込んだりして運転中にすぐ確認できるようになっています。

会社によってはスタフを指差喚呼して誤通過や誤停車を防ぐようにもしています。

※私が勤務していた会社では乗務行路表は乗務員の行路(仕業表)を1冊にしたものを指していました。
※会社によってはスタフのことを乗務行路表と呼ぶようですが、ここでは乗務行路表とスタフは別物として書いています。

 

 

勘違いをしないように

私がいた乗務区では、乗務員の行路を組むときにはできるだけ勘違いしないような組み方をしていました。

例えば乗務区のある駅では上り列車で到着した場合は交替するけど、下り列車を担当してきた場合は交替しないようにするなど極力パターン化されていましたが、中には例外的な行路もあります。

早朝や深夜時間帯は運転本数が少ないのでパターン通りに組むとやたらと間延びしますし、朝夕ラッシュ時は区間運転列車もあってパターン通りに組みにくいこともあります。

もちろんきちんとスタフや乗務行路表を見ていれば間違えるはずはないのですが、人間って普段通りのパターンに沿って行動しようとしちゃうのですよね。

 

 

車掌「合図を送っても出発しません」

21時頃だったと記憶していますが、とにかく乗務区で休憩していたときです。

列車無線がやたらと騒がしく何かなと思い聞いていると、運転指令と車掌が何やらやり取りしています。

「ドアを閉めて合図を送っても出発しません」

「それでは車側灯の消灯の確認と、一度再開扉を行ってください」

「先ほどから何度か再開扉を行い、車側灯の消灯や運転台の合図灯の点灯も確認していますが出発しません」

どうもドアを閉めて合図を送るもまったく電車が起動しない様子です。

「○○駅〇番線の○○列車運転士、応答してください!」

運転指令は車両故障だと思い運転士を呼び出そうとするのですが返答がありません。

乗務区の最寄り駅だったために、乗務区の助役たちが一斉にホームへ向かって走っていきます。

そして出勤管理をしている助役が運転指令への直通電話を使って、当該列車を担当している運転士と車掌の名前を伝えます。

その時に聞こえた運転士の名前ですが、さっき私の前を通過して食堂へ消えていった気がして、出勤管理の助役に

「○○はいま食堂で飯を食っているんじゃない?」

私のその声を聞いたも首席助役や副長が奥の方から飛び出してきて、食堂へと走っていきます。

その頃には列車無線で担当運転士がいないことが報告されていました。

 

いつものパターンだから

いつものパターンだと交替となるところが、その行路では交替せずにそのまま担当を続けるようになっていたのです。

スタフや乗務行路表をろくに確認もせず、いつものパターン通りに降りてきちゃったわけですね。

その運転士は血相を変えてお箸を持ったまま食堂から飛び出し、ホームへ向かって走って行こうとしましたが、助役が代わりに担当してすでに出発済み。

そのまま乗務区の奥の〝お部屋〟に連れ込まれ、何時に開放されたのかは分かりません。

この件以外で本当に酷かったケースには、日勤だった車掌が間違って降りてきてしまい、着替えてそのまま帰宅したということもありました。

そういえば昔、長〇電鉄に乗車していた時、須坂に到着すると運転士は乗務員室を出ていき、交替の運転士がいないので車掌が何度か閉扉するものの列車は出発しない。

その時の車掌は気付いたようで乗務区?へ向かって走り出し、しばらくすると先ほど降りて行った運転士が帰ってきて、客室に向かってペコリと頭を下げてから運転を継続していました。

どこの会社でも似たようなことはあるのかなと…

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