優等列車を担当して起点駅に到着。
扉の切り替えを終えて、携帯品を持って乗務員室横のホームに降り立ちます。
同じホームの向かい側からは普通列車がちょうど出発したところでした。
いつもと変わらない風景なのですが、あるおじさんの登場で雰囲気が一変してしまいました。
「おい!お前らの都合で電車を早く出発させるな!」
ホームに立っていた私の後方から男性の声が聞こえてきます。
振り返るとマジで怒った男性老人が私のほうへ歩いてきます。
「さっき出発した電車に乗る予定やったのに、勝手に早く出発したから乗れなかったやろ!」
乗れなかった腹いせに、電車が早く出発したというクレームを浴びせてくる人って年々増加している気がします。
この時も言い返してやろうかと思ったのですが、お年を召した方って何を言ってもすべて拒否し、とにかく自分の非は0で相手の非が100というスタンスを崩すことはなく、下手に何かを言うのは火に油を注ぐ状態になるので黙っていました。
「俺はついさっき事務所でこの腕時計の秒針まできちんと合わせたばかりなんだぞ」
「さっきの電車は明らかに1分近く早く出発したじゃないか!」
「乗務員が早く家に帰りたいからと言って、勝手に早く出発させるとは何事だ!」
「うちの会社なんてお客さんの言いなりにならないとやっていけないんだ、それに比べて前らは何て勝手なんだ!」
「お前らは公務員みたいなもんで身分が安定してるから庶民のしんどさが分らんだろ!」
延々とその老人は私にまくし立ててきます。
最初のうちは私もその老人に相対して立っていましたが、途中からはそのあまりにも大きな声に嫌気がさし、そして言ってることがあまりにもバカバカしく思えたので背を向けて立っていました。
「お前らの上司はどこや!」
そう言ってきた時に間髪を開けずに
「あちらの駅事務室にいます」
とそちらへ振っておきました(笑)
出発信号機がある駅の大半は、列車運行管理システムによって制御されているので早発はまずあり得ません。
※一定時秒停車するとG(青)やY(黄)など進行を指示する信号の現示となる出発信号機もあります
この起点駅はもちろん列車運行管理システムによって制御されている出発信号機があるので、乗務員の都合で早発することはできません。
私鉄の鉄道員はあくまでサラリーマンですから、身分の保証や安定は他の企業のサラリーマンと同じです。
クレームを受けやすい職種ですから、普通のサラリーマンより不安定な身分かも・・・
そして多いのが、ついさっき時計をきちんと合わせてきたばかりだというクレーム。
そう言われてもどうしようもないんですよね。
ただ列車集中制御装置にプログラムされている出発時秒が間違っている可能性がないとは言い切れません。
なので駅係員や乗務員に文句を言うのではなく、本社へ調査するように依頼されるほうが良いかもしれないですね。
ダイヤ改正直後でない限り間違っていることはほぼないと思いますが。