沖縄が梅雨明けすると本州は本格的な梅雨のシーズンに入り、土砂降りとなることも多くなってきます。
車掌をしていると出発監視(側方監視)の際に雨が顔に当たるのもイヤなのですが、それ以上にラッシュの時間帯だとホーム上で傘をさして次の列車を待つ人が多く、足はたしかに点字ブロックより内側にあるけど、開いた傘は車両のすぐそばにあって、車掌の顔面に当たるのではないかと思うことが多くなってきます。
ホームに上屋(屋根)が設けられていない箇所があるのが一番悪いのですが、しかし車掌からすると結構恐怖だったりします。
運転士も同様に入駅時に傘が車両に当たるのではないかとヒヤヒヤすることもありますしね。
運転士にとって雨天時は車両が走ってくれないし止まってくれないしで、良いことが本当にない。
古い車両やVVVFの初期の車両はノッチを一気に投入すればすぐに空転し、断流器によって切断されて走ってくれません。
空転がひどくなるとモーターを保護するために回路を切ってしまうわけです。
急にモーターの回転が止まるので、体が進行方向に向かって船場っている状態から急に解放されて、後方へ戻される感じになります(こんな表現でわかるかな……)
このために刻みノッチと言って、1ノッチを入れて数秒後に2ノッチ(直列最終段まで)を入れ、様子を見ながら3ノッチ、そして4ノッチ、5ノッチという具合にゆっくりとノッチを入れていきます。
少しずつ車輪の回転数を上げていくことで空転を防ぐ狙いがあるわけです。
ところが車両が新しくなるにつれて、空転をしないようにする技術が進歩していきました。
空転しそうになると電流を少しずつ下げていき防止するのです。
平坦な場所はこの装置で十分だと思うのですが、問題は上り勾配です。
電流をどんどんを下げていくのはよいけど、信じられないくらいに遅い速度で上り勾配を上っていくのです。
運転曲線では90キロほどで走ることになっている上り勾配を、最も新しい車両は雨天時には50キロほどの速度でゆっくり上っていくのです。
VVVF搭載車両は初めて登場したころにも同じような装置が備わっていたのですが、登場してすぐの雨天時に、ダイヤ上駅間は2分ほどで走行することになっていたのに、9分を要したことがあるのです。
上り勾配でどんどん速度が落ちていき、最後には10キロ以下にまで低下。
こんな装置はダメだということになって改良されて、電流の抑制量を抑えたのですが、すると今度は普通に空転するようになったのです。
今の車両はこの時ほどの雨天時の速度の低下は見られませんが、それでも通常時の半分ほどの速度にまで低下するので、それはそれで困りながら運転していました。
新しい車両は刻みノッチによって空転を防ぐことも難しく(3ノッチあたりから電流の抑制が始まってしまう)、3ノッチで走ろうが5ノッチを投入していようが、雨天時の上り勾配での速度はほぼ同じでしたからね。
私が運転士の職を退いて以降の新しい車両はマシになっておればいいけど、雨天時の遅れ方を見ているとあまり変化はないのかな。