伝説の運転士-3

久しぶりに昔本当にいた伝説の運転士の話をしてみたいと思います。

私より10歳以上上の方はみんなすごい運転をしていたのですが、その中でも際立っていたなぁと思う方の話です。

その運転士は言ってみれば飛ばし屋で、とにかく常にぶっ飛ばしていた記憶があります。

私が車掌の頃に何度も一緒に乗務しましたが、優等列車を担当しているときはすぐに先行の列車に追いついてしまい、頻繁に信号待ちをしていましたから。

「今日もめっちゃ飛ばしてましたね」

そう振ってみると

「おう、早着してタバコを吸う時間を作ってたからな」

その運転士はとにかく飛ばして早着して、本当は30秒とか1分しかない停車時秒を2分以上に広げてはタバコを吸っていました。

その当時はホームは禁煙ではなく、ホーム上の至る所に灰皿とゴミ箱が設置されていましたから。

※駅構内の禁煙が進んでいったのは1987年のロンドンの地下鉄 キングス・クロス・セント・パンクラス駅での火災が原因で、先ずは地下線内が禁煙になり、その後嫌煙運動の広がりもあって地上や高架の駅でも禁煙が広がっていきました。
駅からゴミ箱が減っていったのは、1995年のオウム・サリン事件以降だと記憶しています。

この運転士の何が伝説って、常に速度計の表示を0km/hのまま運転していたことですね。

速度計(スピードメーター)って車軸の回転数から速度を求めているのですが、さまざまな種類があるとしても最終的には電気信号を速度計表示機に送って動かしています。

故障時に備えてこの電気信号を送る配線にはスイッチが付いていました。

このスイッチには昔ながらのトグルスイッチが使われていたのですが、なぜだか中立に立たせることができたのですよ。

中立にすると電気信号を受けることができなくなり、速度計は0km/hを示したまま。

実際にどのくらいの速度を出していたのかは分かりませんが、とにかく猛烈なスピードを出していました。

車掌として最後部に乗務していましたが、その揺れ方はハンパなものではなかったです。

今の電車はデジタル化が進んでそんなスイッチなんてついていないと思います。

すべてがアナログな時代の車両ですからね。

別の運転士は速度計のテスト用の栓にマイクの栓をつないだりもしていました。

そしてマイクのスイッチを押すと、マイクが抵抗になって速度計の針がぐっと下がるのです。

100㎞/hくらい出てるときにマイクのスイッチを押すと、速度計の針は70km/hくらいにまで落ちていた記憶があります。

やはりアナログな車両だからできたことでしょうね。