駅勤務をしていた当時は、頻繁に駅構内に貼ってあるポスター(駅貼り広告)が欲しいと言われました。
特に駅長室(駅事務室)勤務の時は本当に多かった。
昔はアイドルを使った駅貼り広告(ポスター)が多くて、女子中高生を中心にポスター希望が多かった。
今貼ってある○○のポスターが欲しい
あのポスターの掲出が終わったら下さい
先日まで貼っていた○○のポスターはありますか?
駅貼りポスターを管理しているのは本社で、昔は現場の駅員は一切関知していません。
ポスターを貼ったりはがしたりするのも、本社側で契約した他の会社(たぶん系列会社)の社員で、はがしたポスターもそちらの会社で回収して処分されることになっていました。
なので駅に来られてもポスターがもらえる確率は極めて低かった。
ただしポスターを貼ったりはがしたりする人はほとんど変わることがなく、私が駅勤務時代から車掌・運転士になって数年経っても同じ人でした。
なので知り合いに
「あの○○のポスターが欲しい」
と頼まれた時は、掲出が終わってからでいいので1枚確保できませんか?とお願いすることもありました。
駅勤務時代に顔見知りになりよく話すようになっていましたから。
車内吊り広告も同じで、駅や乗務区は一切関知していません。
車内吊りの貼り替えは基本的に入庫後に行われます。
夜遅い時間に入庫して、パンタを下ろして蓄電池を切りハンスコ(手歯止)を施行したくらいのタイミングで、脚立と大きなショルダーバッグにたくさんの広告を入れ、頭にはヘッドライトを装着した人がやってきて、手早く車内吊りを交換していきます。
車内吊り広告は2~3日といった短い期間だけ掲出されるものもありますが、基本的には1週間サイクルのようですね。
掲出開始時期が異なるので、広告の交換はほぼ毎晩行われていました。
ごくたまにですが、入庫せずに運用に付く車両もありますから、そういう車両の車内吊りは停車時間が長い駅で一気に変えていました。
車内吊りも昔は雑誌の広告がかなり多く、それも中高生向けの雑誌広告がかなり多かった。
すると当然アイドルの顔が大きく印刷された広告が車内吊りに登場するわけですが、車内の広告に関しては車掌に下さいなんて言う人は皆無で、ほぼ盗っていくんです。
ひどいのは高校の制服を着たまま、車掌がドアを閉めて出発監視(側方監視)をしている時に最後部車両の広告を盗んでいくのです。
お目当てのアイドルの顔が印刷された雑誌広告なんて、編成全てのものが盗られていましたよ。
あの当時の女子高生だから今は50歳以上にはなっていますかね。
とにかく新しく車内に登場した広告を乗務員室から見ていて、
「この広告は一瞬にして盗られるだろうな」
なんて思いながら乗務していました。
運転士になってからだと思いますが、清涼飲料とアイドルのコラボの大きなポスターがホームに貼られていました。
支線の終点の駅ホームにも貼られていて、とにかくピンク色で目がちかちかするといういう印象しかありませんでした。
当時の乗組みに聞いたところなんでもCDデビュー前のアイドルグループで、グループ名そのままの清涼飲料を発売したとして大々的に宣伝しているとか。
この大きなポスターはどこの駅でもあまり盗られることなく、掲出期間終了後に回収されていました。
さすがに飲み物とコラボして、なおかつ商品名をアイドルグループの名前と同じにしても売れないだろうと思っていましたが、私はその飲み物の実物を一回も目にすることなく販売も終了していたようです。
そのアイドルグループも清涼飲料もあまり人気が出なかったのかな?
乗組みに詳しく話を聞いたから今でも覚えているのですが、
(その乗組みは芸能界大好きで詳しかった)
SMAPという当時6人組で、その後超スーパーアイドルになるとは思いもしませんでした。